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警視庁:テロ捜査資料流出 「内部文書の可能性高い」と表明へ

 警視庁などの国際テロに関する内部資料とみられる文書がインターネット上に流出した事件で、警視庁が「内部文書である可能性が高い」と表明する方針であることが分かった。同庁はこれまで「内部文書かどうか調査中」とだけコメントしてきたが、初めて見解を示す。一部改ざんされているため、断定は避けるものの、「内部文書」であることを事実上、認めることになった。また、捜査状況についても中間報告を公表する方針だ。

 ネット上に流出したのは114文書で、10月28日、ファイル共有ソフト「ウィニー」を通じ、現役の公安部長の名字を含めた五つのファイル名でネット上に拡散。いずれもルクセンブルクのサーバーを経由していた。文書には、警視庁公安部外事3課や警察庁などの名前が入り、捜査協力者や監視対象者の個人情報や活動内容、「聞き取った捜査情報」も含まれていた。

 調査を開始した警視庁は、ネット上の文書が経由したとみられるサーバーを管理するプロバイダーに協力を依頼。今月3日には、任意調査では限界があるとして、容疑者不詳の偽計業務妨害事件として強制捜査に乗り出していた。

 一方これとは別に、庁内のサーバーに残っている文書との照合や外事3課などに在籍した職員ら300人以上をリストアップして聴取を続けている。

 警視庁は「内部文書と認めると掲載された人をより危険にさらす」などとしていたが、ネットを通じて1万人以上が文書を入手したほか、11月には文書を収録した本が出版された。警視庁は今月9日、個人情報を記された人の相談に積極的に応じるよう全署に通達したが、個人情報をさらされた捜査協力者を中心に対応の見直しを求める声が高まっていた。

毎日新聞 2010年12月23日 東京朝刊

 

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