ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

物証なき事件 主張対立

検察側(左)の冒頭陳述を聞く中被告(イラスト・竹本佐治)

 21日に地裁で開かれた舞鶴市の女子高生殺害事件の初公判で、検察側は、立証の柱とする目撃証言と防犯カメラ画像以外にも、殺害された高校1年小杉美穂さん(当時15歳)の遺体発見前、中勝美被告(62)(殺人罪などで起訴)が、日頃は読まない日刊紙を購入した事実などを冒頭陳述で挙げ、「犯人であると考えると合理的に説明のつく行動」と指摘した。一方、弁護側は、目撃証言などのあいまいさを追及するため、「夜間検証が必要」などと主張した。

 検察側冒頭陳述によると、中被告は通常、スポーツ新聞しか購入していないのに、舞鶴市内の朝来川の岸で小杉さんの遺体が発見される約45分前の2008年5月8日午前8時頃、同市内の自宅近くの販売店で一般紙を購入。小杉さんが殺害されたのは前日の7日未明とされ、検察側は、中被告が事件を起こしたことを気にして、報道に注意を払っていた状況を示すものとみている。

 また、中被告が事件当時の行動を「寝ていた」「外で飲んでいた」などと変遷させたほか、「被害者は保険金をかけられ、殺害された」との説明を検察官に行った後、保険金が掛けられていなかった事実を聞かされると「間違い」と言い直した点を重視。「犯人でなければ考えられないような変遷や虚偽だ」と指摘した。

 これに対し、弁護側は、「中被告は事件当時の行動について具体的な記憶がなく、供述なども、動揺を示すものでしかない」と説明。そのうえで、中被告とみられる男と小杉さんの目撃が夜間であることから、その信用性に疑問を投げかけ、「目撃者の視認状況を直接、裁判所が確認し、判断の基礎とすべきだ」と強調した。

2010年12月22日  読売新聞)
現在位置は
です