<北朝鮮>日韓で放映されたホームレス女性が死亡
アジアプレス 12月8日(水)18時58分配信
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今年10月、トウモロコシ畑で亡くなっているのが見つかったという、23歳の女性ホームレスの生前の姿。今年6月に撮影された。「今年に入って全国でホームレスや自殺者が増えた。デノミの混乱のためだ」と、撮影当時、金記者は語った。2010年6月 平安南道で金東哲(キム・ドンチョル)記者撮影(アジアプレス) |
金記者は、撮影のため平安南道に出張した際、ひどく痩せて黒く煤けた姿で郊外を放浪する若い女性に遭遇。話をしながらビデオで彼女の姿を記録した。
23歳だという女性は、「今年に入って両親が死亡、家も失って放浪生活をしている」と身の上を金記者に語った。金記者が名前を尋ねたものの、返事は弱々しく聞き取ることはできなかった。
金記者が撮影した映像は、8月にテレビ朝日で放映されたのを皮切りに、韓国放送公社(KBS)のニュースとスペシャル番組、ドイツ放送、BBCなどでも放映され関心を集めた。特に韓国では、コチェビとなり、がりがりに痩せて放浪生活をしている若い女性の姿が社会に衝撃を与え、放送したKBSのウェブ掲示板には多くの感想が寄せられたという。
撮影した金記者は先月、アジアプレスに
「23歳のコチェビ女性は10月20日頃に死亡したことがわかった」
と連絡してきた。金記者によると死亡の経緯は次の通りだ。
「彼女は家もなく市場や路上で物乞い生活をしていたが、トウモロコシ畑の中で死んでいるのが発見された。当時はトウモロコシの収穫の時期なので、畑に入ってトウモロコシを食べようとしたと思われる。『若い女性のコチェビが畑で死んでいる』と噂になり、知人が見に行ったところ彼女だった。死んで何日も経っていたようで、遺体は傷み始めていたという。保安所(警察)も放置したまま長いあいだ片付けなかった」
昨年11月に実施されたデノミ措置(通貨ウォンを100分の1に切り下げ)による経済混乱のため、北朝鮮ではコチェビが全国で急増、餓死者も一部地域で発生していた。亡くなったコチェビ女性のような家庭では、デノミ措置の混乱の中で商売行為が滞り家計が破綻、家を売って路上生活を余儀なくされていた。彼女は無理なデノミ措置の犠牲者だと言える。
(石丸次郎)
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最終更新:12月8日(水)18時58分
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