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小6女児自殺事件に見る“顧客が求める満足感”でなく“わが社にできること”

ITmedia エンタープライズ 12月14日(火)13時22分配信

 先ごろ、また悲しい事件が起きた。「いじめ」による(と見られる)小学6年生女児の自殺だ。心が痛む。亡くなった本人がどれほど悩み抜いたか、親族はどれほど悲しい思いをしているかと思うと、胸が張り裂けそうだ。しかし学校の対応は、関係者を納得させられず、世間を失望させるものだ。児童もその家族も、学校にとって重要な「顧客」のはずなのに。

 近年、供給する側の都合を顧客に押し付けるケースに余りにも多く遭遇する。「真のマーケッティングは、(中略)顧客からスタートする」「顧客が見つけようとし、価値ありとし、必要としている満足」は(P.F.ドラッカー「マネジメント」、ダイヤモンド社)、どこへ行ってしまったのか。しかし顧客無視は、企業だけではない。

 冒頭例のように児童や生徒の生き方や学力向上の指導を忘れた学校、見た目のサービスばかりに力を入れて、真の住民サービスを忘れた行政機関、表面の取り繕いにエネルギーを費やし、膨大な数の患者をさばくことにばかり気が行って、患者の心を忘れた病院、・・・身の周りに顧客を忘れた例を、数え切れないほど見かける。さぞかしドラッカーが嘆くだろうが、それだけでなく、社会に歪みが出てきて、やがて地盤が陥没しかねない。

 顧客が求める満足感に無頓着で、一方的に「われわれの製品やサービスにできることはこれである」(P.F.ドラッカー 上掲書)ことに執着する実態を、いくつか分析してみよう。

 10月23日 群馬県桐生市市立小学校6年の女児が、市内の自宅で自殺した(以下は、朝日・読売・毎日新聞朝夕刊記事より)。女児の父親は、いじめによる自殺で、6年生になってから学校に10回以上相談したが、具体的解決策は示されなかったと主張した。

 学校の対応はお粗末だ。児童や保護者をいわゆる顧客と全く思っていない節がある。当初校長は、「人間関係に問題はあったが、いじめとまでは認識していなかった」と言い、保護者会でのいじめの有無についての質問に、「プライバシーの問題」「詳細までは把握できていない」と理屈に合わない言い訳を繰り返した。

 しかし、見逃そうと思っても見逃せない、いじめや女児の悩みの兆候はいくつもあった。1.女児は9月迄には8月1回欠席しただけだったが、10月に入って急に休みがちになり、腹痛を訴えて5回欠席した。2.給食のとき、孤立していた。3.6年生男児数人が、「“あっちへ行け”と言われて泣いているところを見た」「しょっちゅういじめられていた」と後日話しているというが、「数人が」「しょっちゅう」目撃していたのに、教師の耳目に入らなかったのか。4.校長は「5年生の時に、同級生とのやり取りで誤解があったが、女児の保護者に話して誤解は解けた。その後も見ている限りは、いじめを把握していない」としているが、一方で前掲のように「人間関係に問題はあったが」と言っているからには、起きている現象を総合的に判断すれば兆候の一つと認識できたはずだ。5.女児が亡くなる前日、保護者側が「真剣に学級の立て直しに動くべきだ」と校長らに訴えていた。かねてから女児のクラスの学級崩壊がひどかったのに、保護者の訴えが生かしきれていない。これほどいくつも見られた兆候を無視した学校の状況把握の甘さは、罪が重い。

 やっと11月2日の保護者会で、学校は「女児が置かれていた状況を把握できていなかった」と謝罪した。そして11月8日、市教育委員会は、学校がまとめた「いじめはあったが、自殺は予測できず、原因は特定できなかった」との調査結果を発表し、それまで把握していないとしていた「いじめ」を認めた。この報告に対し、文科省が「学校側が時系列でどう対応したかほとんどわからない」と調査報告を不充分とし、再調査追加報告を指示したのがせめてもの救いだ。

 しかし、校長が記者会見で、自殺について「学校生活の中で、死を感じさせる様子や言葉はなかった」と釈明しているが、以上にも触れたような状況下で、事ここに到ってなお責任回避する姿勢は、醜いし、自殺した女児や遺族、問題究明を期待する世論に対して不誠実で、その考え方や姿勢は放置できることではない。

 児童生徒の自殺を巡っては、背景にいじめがあったと訴える遺族と、いじめの存在は確認できないと主張する学校側と対立するケースが多いと言われる。それにしても、最初からいじめを否定した誠意のなさや、文科省に差し戻された報告書などは、大問題だ。学校は、児童や保護者を顧客と思っていないからだ。事件発生後1カ月近く経って、11月17日やっと第三者委員会を設置することになったらしいが、外部専門家の知恵を借り、事実関係を徹底究明し、関係者と情報を共有し、何が問題だったか、課題は何かなどを真摯に反省・分析し、関係者に丁寧に説明をするところから、信頼を得て、今後の再発防止になる。

 そんなことは、企業では普通に行われる。学校を変えなければならない。「あらゆるレベルの学校が抜本的な改革を必要としている。」「必要なことは、・・・・・・学校をマネジメントされた機能する教育機関とすることである。」(P.F.ドラッカー 上掲書)

 次は、病院の例だ。顧客である患者に対する病院の姿勢について、一般的に改善努力の傾向は見られるが、「良い」「普通」「悪い」に分類したとき、筆者の経験や耳にする噂などから判断して、それぞれが10%、30%、60%の構成か。「悪い」が、多すぎる。

 以下は、筆者自身の経験だ。筆者の肝臓の状態が良くなく、通勤時代は都内のJ病院に検査のため年に3回ほど通院した。インターネットで肝臓病の名医名簿を検索してJ病院を訪ねたが、手違いから目指す名医に当たらなかった。しかしそのまま通院を続け、10年近く通った。前半担当した中年の男性医師は、診察のとき最初から最後までパソコンを睨み、1度として筆者の顔を見ることはなかった。

 患者の顔色も、息遣いも一切見ずして、まともな診察はできまい。そのうち大学へ戻るとか言って、後半は女医に代わったが、この女医はよく挨拶も会話もしてくれた。その後、居住近くのSN病院に変えた。副院長クラスの担当医は横柄で自尊心が強く不誠実、筆者は強い不信感を持つに到った。情報が氾濫している今時、患者が肝臓病について勉強をして、診察のとき質問をするのは当然と思うが、1、2問は何とか答えてくれるが、3問目位になると「わたしは、肝臓の専門医ですよ!」と威嚇してくる。ある時、血液検査をしてから1年ほど経つので、血液検査を依頼したら担当医曰く「そんなに頻繁に検査したら、健康保険組合がつぶれます」。筆者は、病院を変えた。

 SN病院は、この種の対応の悪さで悪評が高い。筆者の知人がある金曜の夕方、急に片足の裏に常に異物を踏んでいる違和感を覚え、SN病院を訪ねると「今日は終わりなので、来週月曜に来てくれ」と帰された。土・日と予てから予定していた1泊旅行に出かけ、月曜の朝SN病院に行ったら、内科の医師から「脳出血だ。どうしてもっと早く来なかったか。数日早ければ、後遺症を防げたのに」と言われ、金曜に訪ねて帰されたことを告げると、担当医曰く「うちの病院は、そういうところがあるんだよなあ」。

 知人には、軽い後遺症が残っている。SN病院でのこの種の例は、いくつも経験している。病院の体質なのだろう。

 次は、好例である。現在通院しているKセンターK病院は、医師のインフォームドコンセントが素晴らしく、看護師や事務員の対応も良い。筆者の病状の関係で他の診療科に廻されることがあるが、どの医師も優れている。タクシーの運転手も、「あの病院は、先生が親切で評判がいいですよ」と言う。センター長や医事長に尋ねてみたが、特別の教育などしていないと言う。長年の間に各人の努力が積み重なり、病院の体質として定着したのだろう。たまたま先日は、患者対象の「よりよい病院づくり」のアンケート調査をしていた。

 公的サービス機関は、「貢献と成果のためではなく、そこにいる者のためにサービスしているとの不満がある。マネジメントの間違いの最たるものというべきである。」(P.F.ドラッカー 上掲書)。公的サービス機関が目の前の取り繕いに執心することに対する忠告である。

 食事処の例だ。ごく最近連れと2人で御茶ノ水へ行ったが昼食時になり、しかし用件が迫っていて時間がないので、駅近くの早くできそうな食事処T店に入った。一番早くできる昼食を注文すると、「マグロ丼」が出た。ところが、すべてのマグロ全体にものすごい固い筋があって食べられない。筋が歯に強烈に食い込み、中々取り除けない。2、3口丸呑みしたが、食べることを諦めた。

 連れは、マグロをしごいて食べていたが、これも早々に諦めた。580円と安いので仕方がないと思ったが、こんな安かろう悪かろうは初めてだ。チェーン店のようだが、もう2度と入る気はしない。後日、試しにT店に近接するS店に入った。S店は小奇麗な大型のT店に比べ、狭く古い店だ。「お任せ海鮮丼」\500を注文してみた。数種類の刺身が入った丼で、美味だ。店長と話ができた。店長曰く「ウチは、お客様に満足頂けることを常に考えています。安かろう悪かろうは、間違ってもやりません」。S店店長の言葉には重みがあり、「顧客創造」の強い信念が覗える。T店は「我々は何を売りたいか」を考え、S店は「顧客は何を買いたいか」(P.F.ドラッカー 上掲書)を考えている。

「顧客こそが企業の基盤である。顧客こそが企業を存続させる。顧客こそが雇用を生み出す。その顧客の欲求とニーズに応えさせるために、社会は富を生み出す資源を企業に負託する。」(P.F.ドラッカー 上掲書)それは、公的サービス機関についても同じである。【増岡直二朗,ITmedia】

(ITmedia エグゼクティブ)

最終更新:12月14日(火)13時22分

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