【コラム】指導層の息子たちを前線勤務に(下)

 前線を守っている海兵隊員やその親に対する最大の差別とは、違法に、あるいは法を逆手にとって軍隊に入らない人たちが、彼らの犠牲の恩恵を受けているということだ。そのようなただ乗り同然の行為に対し、韓国社会はまともな制裁を行っているのだろうか。さらに、兵士たちが除隊しても、社会は彼らに対して事実上、何の恩恵も与えていない。軍加算点制度も廃止された。彼らは就職すると、軍隊に行かなかった同年代の人に比べ2、3年、後輩として過ごさなくてはならない。こうした矛盾がまかり通って良いのだろうか。

 鄭夢準(チョン・モンジュン)ハンナラ党最高委員が22日、「社会指導層の子弟の兵役義務を厳格に管理し、前方の服務に就く法案を検討すべきだ」と主張した。1970年代、当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領は、政府高官や財閥の息子たちの兵籍記録簿に「特」という判を押し、やむを得ない事情を除いては全員軍隊に送るよう指示した。今の時代では、そこまではできないだろう。しかし、北朝鮮が「2次、3次の予想外の攻撃」を脅迫している今、ベトナム戦争の敗戦で不安を感じた70年代よりも大きな安保上の危機が訪れている。

 安保意識とは、国を守るため自ら立ち上がり、自ら犠牲になるという精神だ。国民の間にこのような意識が浸透するためには、指導層が先頭に立つ必要がある。イギリスのエリート校であるイートン・スクールの卒業生約2000人が、過去2回の世界大戦に出兵し戦死した。6・25戦争(朝鮮戦争)の際には、米軍の将軍の息子142人が参戦し、35人が死亡、あるいは負傷した。これこそが、国を守るということだ。

 兵役を免れた指導層は、今さら軍隊に入りたくても入ることはできない。それならばその息子たちは、病気で兵役免除の判定を受けたとしても、病気を治療した後、再検査を申請して軍隊に入り、前線の厳しい場所への配属を要請する運動でも起こすべきだ。そうすれば、少なくとも安保問題に関しては国論の団結を見ることができる。今最も怖いのは、金正日(キム・ジョンイル)総書記ではなく、韓国国内の分裂だ。

朱庸中(チュ・ヨンジュン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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