【コラム】指導層の息子たちを前線勤務に(上)

 北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」沈没と延坪島砲撃は、安全保障に対する認識が甘かった韓国社会を目覚めさせた。同時に韓国社会が抱える致命的な問題点も明らかになった。それは、多くの国民が「庶民の子どもだけが軍隊に行き、徴兵を免れた指導層の子どもたちを守っている」という認識だ。このような認識はすべてが事実というわけではないが、そのように考えざるを得ない根拠は十分にある。そのうちの幾つかの根拠として、次のようなことが挙げられる。

(1)陸軍に配属された将軍の息子のうち、戦闘兵として勤務する割合は18.7%。陸軍全体の戦闘兵の割合は50%。

(2)李明博(イ・ミョンバク)政権初期に長官を務めていた人物の子どもの37%が兵役免除、あるいは入隊を延期していた。ある財閥グループの一家は、男性11人のうち8人が免除判定を受けた。父親も息子も兵役を免除された。

(3)地方自治体の高官を父親に持つ公益勤務要員82人を調査したところ、19人が父親の職場で働いていた。

(4)社会指導層の子どものうち、兵役を避けるために国籍を捨て、米国の市民権や永住権を取得した人が多い。

(5)兵役特例要員にもかかわらず出勤せず、ほかの仕事をしている兵役法違反者を調査したところ、父親が元大統領府(青瓦台)警護室長、次官など高い地位に就いているケースが多かった。

 現在、ペンニョン島や延坪島に配備された海兵隊員たちは命懸けで国を守っている。さらに小さい島では、わずか数十人の海兵たちが、事実上孤立した状態で互いに団結し、前線を注視している。現在、前線の高地は気温マイナス10-20度だ。そんな厳しい寒さの中で地面に穴を掘り、そこに隠れて偵察している兵士たちのことを思うと胸が詰まる。彼らがなぜ、何のためにこのような犠牲に耐えているのかは、言うまでもない。しかし、少なくとも彼らが差別されるようなことはあってはならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る