米“自由に出撃”密約求める
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米“自由に出撃”密約求める

12月23日 6時43分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

沖縄返還にあたり、アメリカは、朝鮮半島に加え台湾などでも有事が起きた場合に備え、事前協議なしに沖縄の基地から自由に出撃することを認める密約を交わすよう、日本に強く求めていたことが、22日に一般公開された外交文書で分かりました。

それによりますと、1972年の沖縄返還にあたり、アメリカ側は一連の交渉で、1960年に交わした密約とは別に、事前協議なしに沖縄の基地から自由に出撃することを認める密約を交わすよう、日本側に強く求めていました。このうち、1969年8月に行われた会談では、当時のマイヤー駐日大使が、愛知外務大臣に対し、朝鮮半島情勢について「北朝鮮の脅威の下、韓国は、事前協議に時間がかかることで有事の際の米国の即時性が大幅に低下するとの危惧を有している」と指摘したほか、台湾海峡を巡っても「中国側の武力攻撃が明らかな場合、米国の手は縛られないことの確認を検討しているところだ」と述べていました。そのうえで、マイヤー大使は「非公開の了解などで、米国の能力が低下しないことをはっきりさせなくてはならない」と述べ、北東アジアで有事が起きた場合に備え、日本側に密約の締結を強く迫っていました。これに対し、愛知外務大臣は「秘密の了解は欲していない」と述べ、日本側は、その後の交渉でもアメリカ側の要求を拒否しました。結局、この年の11月に行われた日米首脳会談の共同声明に加え、当時の佐藤総理大臣が「事前協議に対し、前向きかつ速やかに態度を決定する」と述べたことで決着し、密約は結ばれませんでしたが、今回公開された文書からは、アメリカが当時から沖縄のアメリカ軍基地の自由な使用にこだわっていた経緯が明らかになりました。