2010年12月23日11時3分
勝訴を受けて記者会見する鈴木雄一さん(右)と本多鋼治さん(左手前)=東京都の立川市役所
東京都国立市の高層マンション建設をめぐる訴訟で、勝訴した建築主の明和地所(渋谷区)に市が支払った損害賠償金約3120万円について、同市の住民4人が関口博・現市長に対し、営業妨害行為を行ったとされる上原公子・前市長に市が負担した損害賠償金相当額の支払いを請求するよう求めた住民訴訟の判決が22日、東京地裁であった。川神裕裁判長は、原告側の訴えを認め、関口市長に対し、上原前市長に約3120万円や遅延金の支払いを請求するよう命じた。関口市長は「前市長の景観を守る姿勢を支持する」として控訴する方針だ。
訴訟の舞台となったのは、同市中心部の桜やイチョウの名所「大学通り」に面する、高さ44メートルの14階建て高層マンション(2001年完成)。
同マンションをめぐっては、建築主の明和地所が00年、「建物の高さを20メートルに制限する条例の制定によって、営業を妨害された」などとして、地区計画と市の条例の無効確認を求めて提訴。01年には一連の行為で被った損害賠償も追加請求した。
東京高裁は05年、「市の条例制定は不法行為にあたらない」とする一方で、「市議会で違反建築物と答弁した」などとして、上原前市長の営業妨害行為を認定。市側の敗訴が確定したことにより、市は遅延金を含めた損害賠償金約3120万円を明和地所に支払った。一方、明和地所はその後、「訴訟は業務活動の正当性を司法の場で明らかにするもので、賠償金を受領することが目的ではない」として、受け取った損害賠償金と同額の約3120万円を市に寄付している。
これらの市の行為に対し、同市の住民4人は09年、関口市長が、市が支払った損害賠償金を上原前市長に請求していないのはおかしいとして、住民監査を請求。その後、今回の住民訴訟を東京地裁に提訴していた。