【社説】中国はいつまで法より力を前面に出すのか
今月18日に群山沖の西海(黄海)海上で、韓国の海洋警察の警備艇が中国漁船による違法操業の事実を確認しようとした際、1隻の漁船が突然警備艇に体当たりし、転覆した。この事件について中国政府は、韓国に対し中国側の被害に対する補償を求めてきた。中国外務省の姜瑜報道官は21日、「韓国は事故の責任者を厳しく処罰し、中国船員たちの被害を補償するのはもちろん、今後同じような事件が起こらないよう対策を取らなければならない」と主張した。これはまさに「盗っ人たけだけしい」といえるだろう。
中国漁船が船団を作り、韓国の排他的経済水域(EEZ)に侵入して違法操業を行い、これを取り締まろうとする韓国の海洋警察に対し暴力を振るった事実は、中国側もテレビなどを通じて確認しているはずだ。特にここ数年は、このような行為が何度も繰り返されている。今回の事件は、韓国の領海で操業していた中国漁船15隻のうち、正式に許可を受けていなかった疑いのある船舶に対し、海洋警察が停船を求めたことから始まった。
この漁船は鉄パイプやこん棒などで海洋警察の接近を阻止して逃走し、警備艇がこれを追跡すると、操業許可を受けた同じ会社の別の漁船が警備艇に体当たりし、漁船が転覆した。この結果、船長が死亡、船員1人が行方不明となり、韓国の取り締まり官4人が負傷した。韓中両国が双方のEEZで操業中の相手国船舶に対する取り締まりを行う際、これに応じず暫定水域を逃走する漁船を追跡することは、2001年に締結された韓中漁業協定と国際法にのっとる措置だ。
韓国政府は、「中国と共同で調査を行う用意がある」との立場をすでに表明している。しかし中国は、事件の真相解明には関心を示さず、突然「韓国の責任」などと言い出して補償を求めてきた。米国と世界情勢について話し合う中国の主張にしては、あまりにも情けない。
今年9月に中国漁船と日本の巡視船が衝突したときも、日本にとって非常に重要なレアアース(希土類)の輸出を禁じることで、日本を言いなりにしようとした。今回もこれと同じような手口を使うのなら、われわれも改めて考え直さなければならない。当時中国は、一時的には日本を屈服させたように見えたが、国際社会からは、「中国には大国といえるだけの資格があるのか」と疑問視されるようになった。中国が今後もこのような態度を取り続けるようなら、「大きくて力は強いが、国際法や規範は眼中にない無頼漢」と認識され、しかもこの認識が固まってしまうだろう。それは果たして大国である中国の利益に適うものだろうか。
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