１１月２日（火曜日）
山口二矢烈士五十年祭が日比谷公会堂で開催される。
小生も発起人の末席に名を連ねさせていただいたので、参列させていただく。
昭和３５年１０月１２日、この壇上において山口烈士の刃が浅沼稲次郎の腹部を貫いたのだ。
そして、身柄を保護された東京少年鑑別所において、１１月２日にロープを首に掛けて自裁した。
壁には歯磨き粉を水で溶いて「天皇陛下万才」「七生報国」の文字が書かれていた。
國士として実に立派な最後であった。これが若干１７歳の少年であった。
厳かな神道儀式に続いて、烈士とは同学年であった国学院大学の大原康男教授が記念講演を行う。
２５分ばかりの短いものであったが、当時の義挙にいたる時代背景等を分かり易く語っていた。
浅沼稲次郎が糾弾されるべき責任は３つ。
当時、日本の赤化を目論んでいた社会党委員長であったこと。
直前のシナ訪問で「米帝国主義は日中共同の敵」と発言した事。
国会を十重二十重と包囲したデモ隊を先導したこと、が上げられる。
小生の立場から言えば、日米安保とは日本民族の自律と自決権を蝕むものであり、本来なら唾棄されるべき奴隷条約である。
昭和５１年の雑誌対談において鈴木邦男は必要悪であると言い、野村秋介は不必用悪であると言った。
米ソ冷戦の最中であり、明日にも赤化革命が起こるのではないかと危惧された、時代状況。
共産主義は崩壊したと揶揄されるこの時代に生きる我々が、安保条約を推進した当時の右翼・民族派を軽々に否定することはできない。
神道儀式においては居合い演舞が奉納された。きびきびとした実に立派な演舞であり、五十年祭の奉納に相応しいものであった。
が、演舞者二名が退場するにあたって、会場からはパラパラと拍手が沸いた。つられるように壇上の来賓の幾人かが拍手。
よろしくないですね。神道儀式の最中に拍手は無用です。
演舞は烈士に対して奉納したのであって、観客に見せるための演技ではない。
これでは最初に典儀の方が、「式典の途中にあっては拍手は無用に」、と言わなければなりませんね。
別に右翼・民族派に限ったことではないが、拍手の間合い分からない人は多いみたいだ。
開式あたって総合司会者が自己紹介した際にも会場から拍手が沸いたが、これも本来なら不要であろう。
そんな瑣末な事はさておいても、実に立派な五十年祭であった。
主催者においてはリハーサルを含め、事務方も大変な苦労をされた事と推察される。
このような五十年祭において小生のような浅学の徒が発起人に名前を連ねたことが場違いのように感じてしまう。
こういった場を経験した若人達が烈士の偉業を継承し、次代を切り開いてくれるならば頼もしい限りである。
こういった場を経験した若人達が烈士の偉業を継承し、次代を切り開いてくれるならば頼もしい限りである。
神道儀式に参加した後は穀物からできた液体を体内に入れるのは作法である。
昔懐かしい昭和の香り漂う有楽町のガード下、壁に穴を掘ったような格好で焼き鳥屋が密集して客を呼び込んでいる。
そんな店の一つに呼び込みに呼応して吸い込まれるようにして、丸椅子に座る。
ビールやサワーを流し込んで焼き鳥を頬張っていると、目の前の席に見覚えのあるご一行様が。
偶然にも二十一世紀書院代表の蜷川正大先輩の一行と出合ってしまう。これも、烈士の思し召しであろうか。
小生が知らぬ間に、我々のテーブルの勘定まで済ませてくださるという、気の遣いよう。
いやぁ、本当に申し訳ない。
白雲去来風に言えば、「中破、良飲」ってところでしょうか。