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保釈金:逃亡し実刑確定前に拘束、没収できず 最高裁が初判断

 保釈中に逃亡し、実刑判決確定前に身柄を拘束された受刑者から保釈保証金を没収するよう求めた検察側の請求について、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は20日付で棄却する決定を出した。確定前に拘束された場合に保釈保証金を没収できるかどうかは学説上も争いがあったが、小法廷は「確定までに逃亡状態が解消されていれば保釈保証金は没収できない」との初判断を示した。

 事件では、不動産業の男(47)が詐欺罪で起訴され、大阪地裁で昨年6月に懲役2年6月の実刑判決を受けた後、保釈保証金500万円を納付して保釈された。

 大阪高裁が今年1月、弁護側の控訴を棄却したことから、身柄を再び拘束されることになったが、男はそのまま逃亡。7月に神戸市内で身柄を確保された後、上告を取り下げ実刑が確定した。

 刑事訴訟法は「刑の確定後に執行の呼び出しを受けて逃亡した場合」に保釈保証金を没収できると定めている。

 検察側は「判決確定の前後を問わず、被告が逃亡したことで刑の確実な執行に支障が生じた場合は没収すべきだ」と主張したが、小法廷は「法の趣旨に照らすと、実刑判決確定後の逃亡を防止する規定と解釈できる」と退けた。【伊藤一郎】

毎日新聞 2010年12月23日 東京朝刊

 

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