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尖閣映像流出:元航海士「仕事も住む所も考えないと」

 映像流出事件の捜査は、ユーチューブに投稿された映像の発信元が神戸市内の漫画喫茶と明らかになった11月10日、大きく動き出した。一色正春・元主任航海士が乗船中の巡視艇内で上司に「自分がやりました」と申告したためだ。警視庁捜査1課などの任意聴取に流出は認めたが、供述内容が変わったり、一部は拒むなどし、捜査員らはその言動に振り回された。捜査幹部によると「細かいことはもうええやん」と言ってきちんと説明しないこともあったという。

 一色元航海士は22日夕、第5管区海上保安本部(神戸市)で処分書を受け取った後、上司に「申し訳ありませんでした」と謝罪した。その後自宅に戻り、毎日新聞の取材に「仕事も住む所も、これから考えないといけない」とつぶやいた。

 今回の事件では、一色元航海士は上司に申告する前、読売テレビ(大阪市)の取材に応じていた。動機を「誰もやってくれないなら自分でやるしかないと思った」と話した。

 投稿名を「sengoku38」とした理由は「仙谷(由人)官房長官でもあるし、戦国時代の戦国かもしれない」と説明していた。しかし、捜査当局の聴取には投稿名の理由は説明しなかった。

 11月下旬になり米国のテレビ局「CNN」東京支局に映像を郵送したことを新たに供述。「CNNで放映されなかったのでネットへの投稿を決意した」とも話したという。

 社会の注目を浴びることを求めるようでいながら矛盾する言動が見え隠れする一色元航海士。捜査幹部は「反響が大きく、慌てて証拠を隠滅したのではないか」と話す。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】

毎日新聞 2010年12月22日 21時36分(最終更新 12月23日 1時05分)

 

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