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「大躍進」が宣伝された50年代末に、人民日報がでっち上げた豊富な穀物生産量の報道(ネット写真)

「62年間ウソの報道はない」 人民日報幹部の発言に国民騒然

 【大紀元日本12月18日】今年9月、人民日報社の副秘書長に昇進し、検索エンジン「人民捜索」の総裁にも就任した元女子卓球中国代表・ケ亜萍(トウ・アヒョウ)氏は8日、北京郵電大学が開催した宣伝イベントの会場で、「人民日報は創刊して62年間、一度もウソの報道をしたことがない」と発言し、会場を騒然とさせた。この発言は、瞬く間にインターネット上に広がり、批判や揶揄の的となっている。

 今回の同氏の発言について、人民日報ウェブ版「人民ネット」の関連報道の中では言及されなかったが、北京の大学が運営する多くのフォーラムに転載され、香港のメディアも報道した。また、アジア自由ラジオ(RFA)の報道によると、ケ氏は当時会場にいた学生から「人民捜索は共産党のために検索するのか、それとも人民のために検索するのか」という質問を受けたが、慌てて話題を換えて、質問には回答しなかったという。

 北京在住のジャーナリスト・凌滄洲氏は、ケ氏の今回の発言について、「客観的な事実を無視し、事実無根な話をしている」とRFAにコメントした。その具体例として凌氏は、「大躍進時代に人民日報がでっち上げた穀物生産量の報道や、文化大革命のときに人民日報が掲載した※陳伯達氏の『全ての牛鬼蛇神(粛清対象を魔物化した罵語)を一掃する』と題する社説は真っ赤なウソではなかったのか」と、ケ氏に問いかけた。

 ケ氏は、昨年4月に中国共産党の下部組織である共産主義青年団の北京市委員会副書記に就いて以来、世間を騒がす発言が相次いでいた。

 今回の発言の少し前にも、清華大学で行われたイベントで、「官界で昇進し、立身出世するための秘訣は何ですか」という来場者からの問いに対し、「個人がもつ価値が国家の利益に符合した時に、その個人の価値は無限に広がります。私がその良い例です」と答えたことがメディアに報じられ、ネット上でも波紋を広げていた。

 バルセロナ五輪・アトランタ五輪を通じて4個の金メダルを獲得した国家的アスリートから政界や実業界の要人に転身したケ亜萍氏。当局の機嫌を取るつもりの発言が、国民の嘲笑を買う結果となったようだ。 

 ※陳伯達

 中国共産党中央委員会の機関紙「紅旗」の編集主幹(当時)。


(翻訳編集・豊山)


 (10/12/18 10:07)  





■キーワード
卓球  大躍進  文化大革命  人民日報  ケ亜萍  


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