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社説:問責決議案可決 今は危機対応の優先を
菅政権が窮地に追い込まれた。中国漁船をめぐる政府対応などが不適切として、仙谷由人官房長官の問責決議案が可決されたのである。法的拘束力はないが、内閣の要である官房長官の政治責任が問われた影響は大きい。菅直人首相は決議を重く受け止めなければならない。
問責決議可決は自民党政権時代に3例あるが、対象となった首相、閣僚はいずれも早期に辞めている。「陰の首相」と呼ばれる実力者の仙谷氏だけに、首相としては政権崩壊にもつながりかねない「辞任」は回避したいのが本音だろう。だが参院の判断に対しては何らかのけじめが必要である。
国会審議を野党側がことごとく拒否することになれば、終盤国会は空転する。それどころか2011年度予算関連法案を審議する来年の通常国会にも影響するのは必至だ。
問題はけじめのつけ方と時期である。野党は速やかな辞任を迫っているが、今は危機管理担当閣僚である官房長官の進退を問うには適切なときではないだろう。北朝鮮の韓国砲撃で、日本海を挟んだ朝鮮半島で一気に緊張が高まっている。28日からは黄海で米韓合同軍事演習が始まるが、北朝鮮がこれに強く反発。日本の平和と安全にも影響を及ぼしかねない状況にある。
不測の事態に備えて、危機対応に集中することが何よりも大事な時期だ。それをうっちゃって与野党間の進退論争が突出するのでは、国民の政治不信は一気に増幅しよう。菅内閣は、仙谷氏を続投させた上で国会後の内閣改造を念頭に置いているようだが、朝鮮半島情勢への対応を盾にして、問責決議への対応をいたずらに先伸ばしするようでは、政権崩壊はいよいよ現実味を増すことになる。
自民党は菅首相に対し、国会軽視発言をした柳田稔前法相の更迭に踏み切らせた。さらに仙谷氏と馬淵澄夫国土交通相への問責決議で支持率低迷にあえぐ内閣を一気に解散、総選挙へと追い込もうと意気盛んだが、ここへ来て手詰まり感がある。衆院で300を超える議席を持つ民主党が簡単に解散に踏み切るとは考えにくいからだ。
共同通信社が実施した全国緊急電話世論調査では、仙谷、馬淵両氏ともに「辞めなくてよい」とする回答が半数以上を占め、野党の主張とは異なる民意が表れた。内閣支持率は「危険水域」の30%を割り込み、政党支持率は自民が民主を2・5ポイント逆転した。だがどちらも20%台の低支持率である。
菅政権は今国会最大の焦点だった2010年度補正予算案の成立にこぎ着けるのが精いっぱいで、懸案の小沢一郎民主党元代表の国会招致はいまだ実現していない。自民党もそんな民主党を見限った層の受け皿になり得ていない。二大政党ともに期待に応えられない現状。国民が政治にそっぽを向き始めたのではないかと、気掛かりである。
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