朝鮮半島西側の黄海で、違法に操業していた中国の漁船が韓国海洋警察庁の警備艦と衝突したうえ、漁船の乗組員が警察官を鉄パイプで殴った事件を受け、韓国政府は、悪質な中国漁船に対する取締りを一段と強化する方針です。
この事件は、黄海にある韓国の排他的経済水域で18日、違法に操業していたおよそ50隻の中国漁船のうちの1隻が韓国海洋警察庁の警備艦と衝突して沈没し、中国人の乗組員1人が死亡、1人が行方不明になっているほか、韓国側の警察官4人が乗組員に鉄パイプで殴られて大けがをしたものです。これを受けて海洋警察庁の幹部は19日、記者団に対し、「取締りに抵抗する場合には、強力に対応する」と述べ、20日から現場海域に警備艦18隻とヘリコプター2機を動員して、悪質な中国漁船に対する取締りを一段と強化する方針を明らかにしました。黄海では中国漁船による違法操業があとを絶たず、韓国の海洋警察庁によりますと、ことしに入ってすでに300隻以上がだ捕されています。これに加えて、韓国側の取締りに対し、中国漁船の乗組員が集団で激しく抵抗するケースも増えており、おととし警察官1人が暴行を受けて海に転落して死亡したほか、先月末にも警察官6人が殴られて、けがをしています。さらに、先月の北朝鮮によるヨンピョン島への砲撃の影響で、韓国漁船の一部が操業を控える中、中国漁船による違法操業がさらに増えることを危惧する声も出ています。