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社説:新防衛大綱 平和外交構築が大前提
政府は、今後10年間の防衛力整備の指針となる新たな「防衛計画の大綱」を閣議決定した。2004年以来6年ぶりの改定で、民主党政権となって初の大綱である。
新防衛大綱の特徴の一つは、中国の軍事動向を「地域・国際社会の懸念事項」と初めて指摘したことだ。中国が国防費を増加し、核・ミサイル戦力など軍事力の近代化を急速に進めていることへの警戒感が如実に表れたといえる。
中国外務省は「懸念事項」と指摘されたことに反発。「中国は平和発展の道を堅持しており、誰に対しても脅威となるつもりはない」などと述べたが、日本近海で活発な海洋活動を見せるなど、説得力を欠く。
新防衛大綱でもう一つの特徴に挙げられるのが、そうした中国の動きを警戒し、沖縄県・南西諸島の島しょ部侵攻に備えた「動的防衛力」を構築するとした点だ。テロや北朝鮮のミサイルも含め、多様な事態に機動的に対処する。必要最小限の防衛力を保持するとした従来の「基盤的防衛力構想」に代わるものとして示された。
国防上、極めて大きな転換である。その割に、閣議決定に至る過程がいまひとつ見えない。果たして政府・与党内で十分な議論が行われたのだろうか。民主党は外交・安全保障調査会を数回開いただけで提言をまとめたという。実に気掛かりである。
政府は武器輸出三原則を見直す方針も示していた。社民党が強く反対したため見送ったが、大綱にはその在り方を検討するとの文言が盛り込まれ、議論の余地は残った。武器輸出三原則は、非核三原則とともに平和主義を掲げる日本外交の基本政策だ。見切り発車することなど、あってはならない。
東アジアは緊張した状態が続いている。先月下旬に北朝鮮から砲撃を受けた韓国は20日、延坪島(ヨンピョンド)周辺の黄海で、砲撃に伴い中断されていた海上射撃訓練を実施した。北朝鮮に特異な動きはなかったものの、なお予断を許さない状況だ。
不測の事態に備え、十分な態勢を整えておく必要があることは言うまでもない。同時に、周辺諸国と無用なあつれきが生じないよう、細心の注意を払いたい。平和外交を構築することが、防衛力を整備する上での大前提である。
日米同盟については、新たな安全保障環境にふさわしい形で深化・発展させると大綱に示された。そのためにはまず米軍普天間飛行場の移設問題を解決しなければならないが、見通しは立たないままだ。
気掛かりなのは、日米関係でも日中関係でも、民主党政権の外交政策に一貫性が見られないことだ。普天間問題に加え、中国漁船衝突事件でも迷走したのは、そのためではないか。菅直人首相は防衛戦略転換の前に、外交・安全保障の理念や方向性をしっかり示すべきだ。
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