安永健太さん(当時25歳)の取り押さえ急死問題の審判の第10回公判が21日、佐賀地裁(若宮利信裁判長)であった。安永さんを司法解剖した医師が出廷し「(被告が殴ったとされる)3カ所の打撲は、拳による殴打のけがとしても矛盾しないが、はっきり殴打と分かるけがはない」と説明した。
医師は、検察側が被告の殴打によるけががあったと主張する右耳付け根の後部▽首の前側の右内側▽胸の左側上部--について「断定はできないが、警察官の取り押さえによる打撲と考えられる」と指摘。いずれも軽度の損傷で「人の拳が当たったと考えても矛盾しない」と答えた。
一方で「傷の痕跡から、はっきり殴打があった、と認められるけがはなく、手や指で圧迫したと考えても矛盾しない」とも述べた。
またこの医師の鑑定資料を元に、鑑定を行った別の医師も出廷した。公判は22日も開かれ、別の鑑定医や目撃者が証言する。【蒔田備憲、田中韻】
毎日新聞 2010年12月22日 地方版