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◆不妊治療ってどんなもの?
なるほドリ 体外受精という技術が今年のノーベル賞の対象になったそうだね。不妊治療にはいろいろな方法があるの?
記者 そうですね。最も基本的なタイミング法や、男性の精子を医師が子宮に注入する人工授精などを一般不妊治療と呼びます。
Q 人工授精と体外受精はどう違うの?
A 体外受精は卵巣から卵子を採取、体の外で精子と受精させる技術です。受精卵を子宮に戻し妊娠させることが目的です。精子が少ない場合や動きが悪く受精が難しいケースでは、顕微鏡を見ながら細い管で精子を卵子に直接注入する顕微授精という治療もあり、これらは生殖補助医療と呼ばれています。
Q 治療方法はどうやって決めるの?
A 不妊の原因や医師の判断によって分かれます。体外受精は複数の卵子を採取して状態のよいものを選ぶことができる一方、排卵を促す薬の副作用で体調不良を引き起こすこともあります。
Q 他人の精子や卵子をもらって妊娠するという話も聞いたことがあるけど。
A 病気などが原因で妊娠に不可欠な精子や卵子がないという人もいます。精子の提供を受ける非配偶者間人工授精(AID)は、日本でも約60年前から行われてきました。一方、卵子提供は、体外受精による妊娠が可能になって初めてできるようになりました。受精卵を他の女性の子宮に入れて子を産んでもらう代理出産も可能です。ただ、日本では卵子提供や代理出産は公的には認められておらず、海外で治療を受ける人も少なくありません。
Q どの治療も費用がかかりそうだね。
A 医療機関によって治療費は異なります。人工授精は1万~3万円、体外受精や顕微授精は30万~50万円程度です。国や自治体の助成制度はありますが、不妊の原因となる疾病の治療と言えないなどの理由で、ほとんどの治療が医療保険の対象外です。
また、海外で卵子提供といった不妊治療を受ける場合は、渡航費を含めて数百万円の費用がかかるそうです。体外受精によって、さまざまな不妊治療が可能になりましたが、原因不明の不妊も多く、治療が必ず成功するわけではありません。(生活報道部)
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2010年12月19日