2010年10月23日 13時8分
郵便不正事件で、障害者団体の偽証明書などを作成したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われている厚生労働省元係長、上村勉被告(41)の公判で、弁護側は「証拠改ざんや虚偽内容の供述強要など不正義な捜査を行い、それを隠したまま公判を続けた」として、大阪地裁に公判手続きの打ち切りを申し立てる方針を決めた。11月に予定されている期日間整理で書面を提出する。
検察側の不祥事による公判手続きの打ち切り申し立ては極めて異例で、認められれば起訴が無効となり、事実上の無罪判決となる。上村被告は偽証明書作成を認めており、一連の不正でも上村被告については公訴権の乱用などはないとして打ち切りが認められない場合、公判は継続する。
上村被告の弁護側は「上村被告が厚労省の村木厚子元局長(54)と共謀していないのを知りつつ起訴し、重要証拠の改ざんを隠して公判を続けたのは著しい不正義に当たる」などと主張し、公訴棄却を求める方針。
上村被告は04年6月上旬、村木元局長から指示され、偽証明書を作成したなどとして起訴された。公判で作成は認めたが「独断で作成、指示はなかった」と証言。検察側も20日、村木元局長の無罪確定を受けて、偽証明書の作成について「有印公文書偽造・同行使罪」への訴因変更を請求した。【日野行介】
【ことば】公訴棄却の判決 刑事訴訟法338条は、公訴提起(起訴)の手続きが間違っているなどの場合、裁判所に対して公訴を棄却する判決を言い渡すよう義務付けている。