(cache) 法務省を対ウイルス法案で突っついてみました

法務省を対ウイルス法案で突っついてみました



共謀罪と一緒に流れたはずの対ウィルス法案がゾンビのごとく蘇ろうとしてると聞いて、法務省にお電話。
ここは担当部署に行くのに時間がかかるところで、今回も4回くらい転送されたかなー。
以下は担当部署(刑事局刑事法制管理官室)につながってからのログでございます。
てん 「えっとですね、ウィルスに関して作成罪を含めた改正案を検討されてるということがニュースで流れてたんですけど」
光川様 「はい」
てん 「その、ウィルスというのは、法務省さん的にはどんな風に解釈されていらっしゃるんでしょうか」
光川様 「あ、なるほど。少々お待ち頂いてもよろしいですか。ちょっと資料を用意しますので」
というわけで、またじっと我慢の子の時間。
2分くらい経ってから
光川様 「もしもし。お待たせいたしました。すみません。えーと、ウィルスの定義ということだったんですけども、今は法の検討中の段階でして」
てん 「検討中」
光川様 「はい」
てん 「それだと・・・定義はまだ決まってないとかそういうことでしょうか」
光川様 「ですね。明確にこうだということは法務省としては申し上げることができないという状況なんですね、ええ」
てん 「そうですか・・」
光川様 「ええと、新聞記事で報道されてるような、タコイカウィルスですかね、ああいうものに対処できるような法案について検討しているというところなので、まぁ明確にコンピュータウィルスについては法務省としてはこういう風に考えてますよという風に定義することはできない状況にあります」
タコイカウィルスご指名きたー。
危険度ではもっと上のがいっぱいなんだろうけど、省庁内での知名度は高そうです、これ。
てん 「なんか以前、不正指令電磁的記録作成等でしたっけ、そういう条文があるんですけども、ここに“人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録”というのがあるんですよね」
光川様 「はい」
てん 「これが定義になってるというわけじゃないんですか?」
光川様 「えー、こちらの・・これは法務省のHPか何かで見られた情報だと思うんですけども、この法案というのは平成17年に提出しまして、平成21年に廃案になっているものなんですね」
てん 「はい」
光川様 「で、まぁ確かに17年当時に、今てんたまさんが仰られた定義で考えていたんですけれども、今これと全くおんなじ形で法案を提出するかどうかも含めて検討しているところなので、全く、今仰られた不正指令電磁的記録作成等という条文があるんですけれども、そのままの法案になるかどうかっていうのも今のところ決まっていない状況なんですね」
てん 「そうなんだ・・」
光川様 「ですので、今仰られた条文の定義なんですよということも申し上げられないという状況になってるんですね」
うーん・・。
以前の法案から共謀罪を除いた形が基本形かと思ったけど、どうやらそういったこともはっきりしてないみたい。
しょーがないので、ちょっと違う方面から。
てん 「そうするとですね、この定義ですと、その、問題があるとこについて情報を提供させて頂きたい場合なんかはどうしたらよろしいのでしょう?」
光川様 「? 問題があるとこに情報提供するというのは?」
てん 「要はこの定義ですと、プログラマ的立場で見た時に、プログラムを作る事が怖くなってしまうんです。ウィルスを作る気がなくても、逮捕の可能性が出てきてしまうような条文になってるんですよね」
光川様 「はぁはぁはぁはぁ。なるほど・・・なるほどなるほど」
どう問題があるかを説明しようとしたら、向こうから質問が飛んできました。
光川様 「ちょっとすみません、私も・・コンピュータの知識にすごい詳しいわけではないので、ちょっと不勉強な点はあるんですけれども、プログラム、まぁプログラミングする段階でこのような、先ほど仰った条文の定義に当たるようなソフトウェアというんですかね、プログラムというんですかね、を開発するというのはあり得るんですかね?」
てん 「あのですね、ウィルスっていうのはマルウェアって言われるんですけど、というかその一種なんですけど、悪意があるソフトウェアって意味なんですよね、これ」
光川様 「はい」
てん 「で、自動車事故でも、ひき殺そうという事故と、ひいちゃったという事故は、扱いが変わってきますよね」
光川様 「そうですね」
てん 「ソフトもですね、こういう動きをさせたいんだけど、あの、設計ミスとかで違う動きになってしまったということは実は結構ある話で、それこそウィルスを退治する側のワクチンソフトっていうのを出してる側でも、間違ってユーザーさんのパソコンをおかしく、一時的におかしくしてしまったということが実際の事件でありまして」
光川様 「はぁはぁ」
てん 「トレンドマイクロ社っていう有名な、ワクチンで有名なところがそういったミスをやってしまったことがあるんです」
光川様 「あ、なるほど・・なるほど。」
自分のPCを守るためにウィルスパターンデータを新しいのにしたら、
CPU使用率100%状態になって何もできなくなったというとんでもない事件。
パターンデータ公開の2日後には32万件の問い合わせがあり、
日本だけでも132の企業や官公庁、米国でも1000社に及ぶ被害の可能性という規模でしたから、
その時にこの法案が実効力を持ってたら、トレンドマイクロ社は逮捕者の山になってたと思いマス。

作成者が予測しない使い方をユーザーがするというのはどうしてもある話なんですよね。
だから2000年問題なんかも起きてしまうわけで。
光川様 「これはですね、先ほども私が申し上げたように、法案を検討中ですので、えー、今てんたまさまが仰られた、この定義ですとプログラマーにとって支障が出てしまうと。そういう風に一般の方からお電話がありましたというのを私の上の方にも報告してですね、ちょっとそれを含めてですね、要望という形で受け取らせて頂いて、はい。上の方に話をして、まぁちょっと検討中なので今後どうなっていくかというのはまだわかっていないんですけれども、今てんたまさまが仰ったご要望というのを、まぁ参考にさせて頂いてですね、法案を検討させて頂きたいなと思うのですけれども」
てん 「それでしたらですね、こういう技術的なこと、技術的な視点で見た問題点をお送りしたいと思うんですけど、どういった方法でお送りすればよろしいんでしょうか」
光川様 「そうですね。まぁ、あの・・紙ベースで、郵送をこちらにして頂くということもできますか
てん 「紙ベースで郵送。宛先は刑事局の刑事法制管理官室でいいです?」
光川様 そうですね。それか刑事局宛でも我々のところには届きますので」
てん 「わかりました。問題点を印刷したのを入れてお送りすればよろしいということですね」
光川様 はい
そういうわけなので、今回はメールでもFAXでもなく、郵送で問題点を受け取って下さるそう。
ちょっと敷居は高めですが、技術者の方は意見を送ってみてはいかがでしょうか。
なお、担当者名は不要だそうです。
てん 「これちょっと、プログラマー的に見て、このままだと全く悪意がないのに、ということも」
光川様 「なるほど」
てん 「逆に、ウィルスもですね、普段悪さをしてるわけじゃなくて、実はスパイみたいに普段は普通に動いてて何の邪魔もしないで、指示があった時とか条件揃った時に悪さするのもいるんです」
光川様 「なるほど。はぁはぁはぁはぁ。色んな種類があるというのがあると」
てん 「そうなんです。USBメモリってありますよね、USBのとこに挿してっていう。あれで感染してしまうウィルスというのも実はありまして。それの場合だと、感染したメモリを他の人のに挿すと、うつっちゃうんですよね」
光川様 「はぁはぁ。そうですね、一時期それも問題にはなって、新聞報道もされて。はい」
てん 「なので、そういった辺りをお伝えしようかと思うんです」
この後は送り先の再確認をして電話終了。
ここ最近のレポとしてはかなり短めですが、これでも実は16分電話してたりするのです。
その半分以上が転送やら資料探しで・・
今回のてんたまレポは以上です。
いつもながらおつきあい頂きありがとうございました。
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