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【漫画規制都条例】「傑作なら条例も無意味」との猪瀬副知事の発言に「認識が甘い」の声

[2010年12月18日]


12月15日に東京都議会で可決された東京都青少年健全育成条例改正案。大手出版10社は都主催のアニメフェア(2011年3月開催予定)への参加を見合わせるなど対抗する姿勢を見せていたが、可決されたことにより石原都知事は、態度をよりいっそう強気に。「来なければいい。そんな連中は来なくてけっこう。来年、吠え面をかいて来るよ」と言い放った。

一方で、東京都副知事である猪瀬直樹氏のツイッター発言にも、首をかしげる声が上がっている。以下はすべて、採決の前日、14日のつぶやきだ。

「みな勘違いしているが、性描写はおおいにけっこう。表現規制ではないから」

「好きなものを書く、これをつらぬきなさない。それに尽きる。でもほんとうに好きなことが書けるか、世の中をひっくり返すぐらいの作品を期待したい。村上隆をめざしてほしい」

「自分が作品をうまく書けないことを、条例のせいにしてはいけない。そんなものがあってもなくても傑作ができれば条例なんてすっ飛んでしまう」

「出版社は傑作なら喜んで原稿を受け取る。条例なんて、そのつぎの話。まずは傑作を書いてから心配すればよい。傑作であれば、条例なんてないも同然。つるんで騒いでもあとが虚しい。自分の生き残りを考えること。ライバル同士がつるむことに僕は理解できない」

一見、物分かりがいい先生のような発言だが、ネット上では「認識が甘い」「みんなが騒いでいる理由が本当にわかっているんでしょうか?」など疑問の声。「権力を持った公人が、条例破りを認めるかのような言葉を発信しても良いのだろうか」と、冷静な意見も見られる。

そもそも漫画家や出版社が危惧している点が、「規定の曖昧さ」。改正案には「著しく社会規範に反する性行為」を、「不当に賛美・誇張する」ものが規制対象と書かれているが、「著しく」や「不当に」といった表現が個人の裁量であることは言うまでもない。もちろん、猪瀬氏が言う「傑作なら条例なんてない」の“傑作”も同様だ。

猪瀬氏は、「せいぜい月に数冊が区分棚に移される程度」「区分陳列で漫画の売上げは伸びるでしょう」と楽観的な発言をしているが、月に数冊を「不健全図書」に指定するために、条例という名の「法律」――しかも曖昧な規定で、漫画家や出版社を縛る必要はあるのだろうか。

条例改正案は、2011年7月までに施行される予定。子供にとっての“傑作”が、大人の判断で「有害」と指定されるのか。それとも、数冊のエロ漫画を人知れず18禁の棚に移しただけで「条例のおかげで子供たちが救われた」と鼻高々になり、都民の失笑を買うのか。どちらにしろ、東京都は戻れない道を踏み出してしまった。

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