アニメ「ブッダ」のメーンビジュアル(c)2011「手塚治虫のブッダ」製作委員会

 故手塚治虫さんが仏教の開祖の生涯を描いた傑作マンガを劇場版アニメ化した「手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-」(森下孝三監督)の主題歌をロックバンド「X JAPAN」の「Scarlet Love Song」に決定したことが17日、明らかになった。作詞作曲を担当したYOSHIKIさんは「X JAPANとしては、久しぶりのバラードを作ってみました」とコメントしている。

 「ブッダ」は、手塚さんがマンガ誌「希望の友」(潮出版社、「少年ワールド」「コミックトム」と改題)で72~83年まで連載していたマンガが原作。説話に基づいたものではなく、ブッダ(釈迦=しゃか)の人間ドラマとして描き、エンターテインメント作品に仕上げた。マンガ界のアカデミー賞と呼ばれる米国のアイズナー賞最優秀国際作品部門を04、05年に連続受賞。手塚さんのキャリアで最長となる10年の歳月を費やしたライフワークで、日本国内で約2000万部を発行し、英語、フランス語、ポルトガル語、韓国語、中国語、スペイン語、イタリア語で翻訳されている。

 アニメは、吉永小百合さん、堺雅人さん、観世清和さん、吉岡秀隆さんら豪華キャストが主要キャラクターの声を担当。全3部作で第1部だけで製作費10億円の大作となるという。第1部は、2500年前の王国間の争いが絶えないインドに、世界の王になると予言されたシャカ国の王子、ゴータマ・シッダールタが誕生。思春期を迎えたシッダールタは、身分の低い人々と心を通わせ、厳しい階級社会に疑問を抱くようになる。やがて強大なコーサラ国との激しい戦争が始まり、奴隷の生まれを隠してのし上がったコーサラ国軍の勇者チャプラと、人を救えるのなら高貴な身分を捨ててもいいと願うシッダールタの二つの正反対の魂が戦場で交錯する……というストーリー。

 森下監督は「企画当初から、YOSHIKIさんにラブコールを送っていました。出来上がった『Scarlet Love Song』は、まさに、日本が世界に誇る『X JAPAN』が奏でる愛の歌として結実し、映画が語る世界を、より深淵に膨らませ、輝かせてくれるものになりました。特にYOSHIKIさんのピアノとToshIさんの歌唱がパワフルに絡み合い、期待以上の楽曲が上がり、とてもうれしく思っています」とコメント。

 YOSHIKIさんは「事前に原作を読ませていただいて、とても興味深かったので主題歌をやらせていただくことにしました。元々、子供の時からアニメーションは大好きだったので、今回このような仕事ができてとてもうれしい。まあ、『X JAPAN』自体アニメーションみたいで現実っぽくないバンドだから」と語っている。「ブッダ」は11年5月28日、全国ロードショー公開予定。(毎日新聞デジタル)