“政教分離に違反”初の判断
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“政教分離に違反”初の判断

12月22日 0時20分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

太平洋戦争の戦没者の遺族が靖国神社への合祀の取り消しなどを求めた裁判で大阪高等裁判所は、国が戦没者の名前を神社に提供したことなどが憲法の政教分離の原則に違反するという初めての判断を示しました。しかし、合祀の取り消しまでは認めませんでした。

この裁判は、旧日本軍の軍人や軍属の遺族9人が「靖国神社に肉親を祭られ、精神的な苦痛を受けた」と主張し、靖国神社と国に合祀の取り消しや賠償を求めたものです。2審の判決で、大阪高等裁判所の前坂光雄裁判長は、戦後、国が靖国神社に戦没者の名前を提供したことや、昭和46年まで靖国神社に協力して戦没者の調査や遺族への合祀の通知を行っていたことなどについて、「国が合祀の実施に大きな役割を果たしたのは明らかで、戦没者の遺族援護の面があったことを考慮しても、合祀という宗教行為を援助、助長した」として憲法の政教分離の原則に違反するという判断を示しました。しかし、「合祀によって原告が感じる不快感は、法的な利益が侵害されたとまでは言えない」と述べ、1審に続いて遺族の訴えを退け、合祀の取り消しまでは認めませんでした。弁護団によりますと、靖国神社の合祀を巡って裁判所が政教分離原則の違反を指摘したのは初めてです。厚生労働省は「判決の内容を十分に把握していないが、国の主張が認められたと考えている」とコメントしています。靖国神社は「勝訴したと認識している」としています。