2010年12月22日11時50分
菅直人首相が最近、よくひとりぼっちで昼食をとっている。内閣発足当初は秘書官や民主党幹部らと食卓を囲んでいたが、政権が苦難続きとなるにつれて首相官邸の執務室で「孤食」をするように。首相周辺が「熟慮の時間」と見る一方で、「首相の引きこもり」(官邸スタッフ)と心配する声も漏れている。
首相官邸のお昼どき。職員が1人分の昼食を載せたお盆を持って5階の首相執務室に入っていくのが、窓越しに見える。定食にデザートの果物が付いた特別メニュー。官邸内の食堂で幹部向けに作られたものだ。そして、20分もたたずに空の食器が下げられる――。これが、最近の首相の昼食風景だ。7人の首相秘書官はその頃、同じ階の会議室に移って昼食をとっている。
6月の政権発足当初は違った。首相は昼になると秘書官らと連れ立って会議室へ行き、30分ほどかけて食事をとった。民主党の枝野幸男幹事長(当時)ら党幹部を官邸に招き、仙谷由人官房長官を交えて食べることも多かった。
例えば、7月の第4週。祝日だった月曜以降、火曜=仙谷、枝野両氏▽水曜=秘書官▽木曜=仙谷、枝野両氏に加えて玄葉光一郎政策調査会長と樽床伸二国会対策委員長▽金曜=近くのホテルで武村正義元官房長官――といった具合だ。
ところが、党代表選に向けて党内があわただしくなってきた8月以降、側近議員や秘書官らと共に食べる回数が減少。臨時国会での「ねじれ対応」や、尖閣諸島沖の衝突事件などの外交案件に追われるようになるにつれ、「孤食」が常態化するように。
最近では、昼ごろの訪問者が帰った直後に首相執務室に昼食が運ばれる場面も目立つ。あえて孤食を選んでいるかのようだ。12月第2週は月曜から金曜まで、すべて1人で食べていた。