中国で「生きたカニ」の自販機　死んでたら３杯もらえる！？

　中国江蘇省南京にある地下鉄の駅にこのほど、生きたカニの自動販売機が設置され、地元住民の間で１日平均２００匹以上を売りあげる人気を呼んでいる。ロイター通信などが伝えた。日本の大手水産関係者は「日本ではあり得ない発想」と仰天。「機動戦士ガンダム」にそっくりな立像が遊園地に出現するなど、相変わらず“パクリ文化”で世界に悪名をとどろかせている中国だが、これはどうやらオリジナルだ。

　黄色を基調とした派手な外観、「梱包禁止」（「素手で持って帰れ」ということ？）、「高くありません」の文字が仰々しく躍る。お金を入れると、プラスチックケースに入った、生きたカニが…。

　１７日、中国南京市内の地下鉄駅に、異様な自動販売機が出現した。地元紙によると、中国国内史上初となる「カニの自販機」という。値段は大きさや性別により、１匹１０～５０元（約１２５円～６３０円）で販売されている。

　この自販機を設置したのは、１５年前からカニの養殖を続けている大手の専門会社で、生産量は４００トン。カニなどを包む時には、何とブリキの包装を使用している。この包装は品質維持に役立つらしく、「カニを運んでいるうちに死んでしまった、といった煩わしいことでお客様が悩むことは、もう２度とないでしょう」と自画自賛している。自販機の中は、カニを“冬眠状態”にするため、温度は５度に設定されているという。

　今のところ、出足は好調で、売り上げは１日平均２００匹以上。販売機の開発者は、さらに空港やスーパーなどへの設置も検討している。

　賞味期限など衛生面が気になるところだが、謎の保証システムも用意している。買ったカニが死んでいた場合は、生きたカニ３匹がもらえる特典があるという。「カニが死んでいたので、交換してくれ」と販売会社に連絡するのだろうか。

　パクリ文化で悪名をとどろかす中国だが、生きたカニの自販機はさすがに日本では見られない。大手水産会社マルハニチロ食品の広報担当者は「自販機でカニを売る？　検討したこともありません。そういう発想自体がない」と苦笑していた。

　◆日本では…　日本では、生きたカニの自動販売機はもちろん存在しないが、生きたカニを発送する宅配サービスはある。北海道稚内産の毛ガニなどを発送する業者のホームページでは、生きたカニの賞味期限は「到着日のみ」となっている。また、国内の保冷専用の宅配便では「カニの鮮度を保つ温度は０度前後」としている業者もある。中国の「カニ自販機」は内部の温度を５度に設定。現時点では売れ行き好調で回転がよさそうだが、売れなくなってカニが自販機の中に長く残ることになれば、鮮度の点で不安は大きい。

（2010年12月22日06時02分スポーツ報知）