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靖国神社への戦没者名提供「政教分離に違反」 大阪高裁

2010年12月21日16時58分

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 太平洋戦争の戦没者らの遺族8人が「遺族の意思に反して靖国神社に親族を祭られ、故人をしのぶ権利を侵害された」として、同神社と国を相手に神社が管理する名簿から氏名を消すことなどを求めた訴訟の控訴審判決が21日、大阪高裁であった。前坂光雄裁判長は、遺族側の請求を退けた一審・大阪地裁判決を支持して遺族側の控訴を棄却したが、国が戦没者の氏名などを靖国神社に提供したのは「国の政教分離原則に違反する行為」と指摘した。

 原告側弁護団は「国が合祀(ごうし)に協力したことを違憲とした初判断」と説明している。一方、控訴棄却を不服として最高裁に上告する方針。

 原告は近畿、中四国、北陸に住む66〜83歳の男女。父や兄らが戦死・病死して靖国神社に合祀されたことについて「取り消しを求めたのに祭られて精神的苦痛を受けた」などと訴え、国が戦没者の氏名や死亡年月日の情報を提供して作られる儀式用の「霊璽簿(れいじぼ)」などからの氏名抹消と遺族1人につき慰謝料100万円の支払いを求めていた。

 前坂裁判長は控訴審で、護国神社への自衛官の合祀をめぐり遺族側が敗訴した最高裁判決(1988年)を踏まえ、原告8人についても「靖国神社の教義や宗教活動に対して内心で抱く個人的な不快感や嫌悪感にすぎない」と指摘し、一審同様、8人には法的に保護すべき利益はないと判断した。

 判決はさらに、国の合祀への関与を検討。(1)旧厚生省が戦後に合祀予定者を決めて神社側に通報した(2)調査費用が国庫負担だった、などの経緯をふまえ「合祀の円滑な実行に大きな役割を果たした」と認定した。そのうえで、国の行為は「宗教行為そのものを援助、助長し、影響を与えた」として政教分離原則に反するとの判断を示したが、「遺族側の法的利益が侵害されたわけではない」として、賠償義務はないと結論づけた。

 8人とは別に「信教の自由を侵害された」などと主張した大阪府内の神父(75)の請求も退けた。(平賀拓哉)

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