朝鮮学校補助金問題ばかりが続いて恐縮ですが、今、朝鮮学校補助金について、住民訴訟をするかどうか検討中なので、ご容赦下さい。
さて、この問題については、９月６日のｴﾝﾄﾘｰで「朝鮮学校補助金問題４ 憲法89条後段との関係」と題し、”
学習指導要領を遵守しているかどうかが「公の支配」の最大のﾒﾙｸﾏｰﾙである”と主張しました(ﾘﾝｸは
こちら)。
その際、国の見解がよく分からなかったのですが、たまたま「公の支配」を検索していたら、良い資料が見つかったので、ご紹介します。
みんなの党の浅尾慶一郎衆議院議員は、平成２２年３月１５日に提出した質問第２５７号「外国人学校に関する質問主意書」で，”
一 朝鮮学校やアメリカンスクール等の外国人学校は「公の支配」に属するのか。”と質問しました(ﾘﾝｸは
こちら)。
これに対し，政府は内閣衆質１７４第２５７号平成２２年３月２３日付け答弁書で，”
私立学校法（昭和二十四年法律第二百七十号）第三条又は第六十四条第四項に規定する法人（以下「学校法人等」という。）が設置した教育施設であって、学校教育法（昭和二十二年法律第二十六号）第百三十四条第一項に規定する各種学校として認可されたものに対する公費の助成に関しては、同法による学校の閉鎖命令、私立学校法による法人の解散命令、私立学校振興助成法（昭和五十年法律第六十一号）による収容定員の是正命令、予算の変更勧告、役員の解職勧告等の規定の適用があり、このような国又は地方公共団体の特別の監督関係の下に置かれる教育の事業は、憲法第八十九条にいう「公の支配」に属すると解される。”と回答しました(ﾘﾝｸは
こちら)。
ちなみにこの件については、再質問主意書(ﾘﾝｸは
こちら)とそれに対する答弁書(ﾘﾝｸは
こちら)も提出されています。
当方はこの政府の見解を是認することはできません。
理由の第１は、上記の規制がいずれも一般条項なものであって、「公の支配」の名に値しないからですｙ。例えば、「
同法（（注）学校教育法）
による学校の閉鎖命令」（学校教育法１３４条２項で１３条を準用）は、「一 法令の規定に故意に違反したとき」、「二 法令の規定によりその者がした命令に違反したとき」、「三 六箇月以上授業を行わなかつたとき」を挙げていますが、これらは余りにも自明のことで、規制としての実体がありません。
理由の第２は、第１とも関連しますが、教育の本質とも言える教育内容についての規制がないからです。
では、そこで教育内容についての規制とは何かと言えば、前回の結論である「教育指導要領」であるとつながっていくわけです。
この議論の正解はもちろん憲法89条後段の立法趣旨をどうとらえるかによって大きく左右されます。この点については、教科書的に言えば、自主性確保説と公費濫用防止説が対立しています。この点は内閣府のこの資料(ﾘﾝｸは
こちら)がよくまとまっています。要するに、自主性確保説に依拠すれば規制が緩くなるし、公費濫用防止説に依拠すれば規制が強くなるということです。
当方はやはり公費濫用防止説の方が正解だと思います。公益的団体の自主性確保という要請は否定しませんが、一般国民にとって、あえてそれを憲法に書くほどの必要があるとは思えません。
- 2010/12/21(火) 23:56:18|
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