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京都・舞鶴の女子高生殺害:初公判 被告「真犯人知っている」 被害者母、涙こらえ

 「全部でたらめ、うそで、間違いです」--。発生から2年7カ月。京都府舞鶴市で起きた女子高生殺害事件で殺人と強制わいせつ致死の罪に問われた中勝美(なかかつみ)被告(62)の声が法廷に響いた。京都地裁で21日に開かれた初公判。被害者、小杉美穂さん(当時15歳)の母親(40)はぎゅっと口を結び、被告に厳しい視線を送った。

 午前10時の開廷前、中被告は上下とも灰色の作業着のような服装で、京都地裁で最も大きい101号法廷に入廷。ほぼ満席となった傍聴席を見回し、被告人席に着席した。

 08年11月に別の窃盗事件で逮捕されて以降、服役期間も含めて身柄の拘束は2年以上に及ぶが、健康状態は良好な様子。裁判長に名前や本籍地を聞かれると、はっきりとした口調で答えた。

 検察側の起訴状朗読を直立して聴き入り、認否では「私は無罪です。何にも関係ありません」と述べた。「私は真犯人を知っている」と女性の実名を挙げ、笹野明義裁判長に制止される一幕もあった。

 弁護側も対決姿勢を鮮明にしており、検察側が冒頭陳述で中被告の前科を挙げ始めると、「詳細すぎる」と異議を差し挟み、認められた。

 一方、事件後、転居を余儀なくされたという小杉さんの母親は被害者参加が認められ、検察官の後ろの席でやりとりを見つめた。証拠調べで、小杉さんが事件当時着用していたパーカやサンダルが法廷のモニターに映し出されると、つらそうに、はなをすすり上げ、涙をこらえていた。小杉さんの友人女性は「遺族が同世代の子を見るのはつらそう」という理由で、初公判の傍聴を見送り、傷の深さをうかがわせた。

 傍聴券の抽選には58席に対して302人の希望者が並んだ。【田辺佑介、五十嵐和大、成田有佳】

 ◇花絶えぬ現場

 京都府舞鶴市の朝来(あせく)川沿いの遺体発見現場前には、事件から2年半がたった今も花が供えられている。

 小杉さんの親友で、最後に電話で話した高校3年の女子生徒(18)は「(中被告が)無罪を主張しており、本当にこの人と思っていいのか。時間がたち、新しい犯人を捕まえるのが難しくなれば、またつらい思いをする」と複雑な胸の内を明かす。

 小杉さんが在籍した東舞鶴高校浮島分校の副校長だった北川鯉平さん(54)は「ようやく始まった。生徒が事件や事故で命を落とすことが一番つらい」。

 中被告が住んでいた朝来地区で登校児童の見守り活動などに取り組んできた四方筆樹さん(67)の元には、中被告から手紙が6回届いたという。「朝来が懐かしい。早く戻りたい」といった内容。四方さんは「被告が犯人かどうかは裁判の結果を待つしかない」と話す。【岡崎英遠、村上正】

毎日新聞 2010年12月21日 大阪夕刊

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