2010年12月21日11時0分
京都府舞鶴市の朝来(あせく)川沿いで2008年5月、府立高校1年の小杉美穂さん(当時15)の遺体が見つかった事件で、殺人と強制わいせつ致死の罪に問われた無職中勝美(なか・かつみ)被告(62)の初公判が21日、京都地裁(笹野明義裁判長)で開かれた。中被告は「(起訴内容は)全部でたらめ。私は関係ない。真犯人は別にいる」などと述べ、無罪を主張した。
中被告は08年5月7日未明、朝来川岸付近で被害者にわいせつな行為をしようとして抵抗されたことなどに腹を立て、顔や頭を鈍器で何度も殴って殺害したとされるが、指紋など被告と事件を結びつける直接的な証拠は見つかっていない。裁判員制度の導入直前の昨年4月に起訴されたため、笹野裁判長ら裁判官3人だけで審理する。
検察側は冒頭陳述で、中被告が08年5月7日未明、スナックから帰宅中に自宅へ向かう道路を歩いていた被害者と出会い、被害者宅から約7キロ先の遺体発見現場まで一緒に向かったと指摘。その根拠として(1)中被告と被害者とみられる男女2人が現場方向に歩いていくのを地元住民2人が目撃した(2)道路沿いに設置された防犯カメラの映像を専門家が鑑定した結果、被害者と歩いていた男は中被告である可能性が高い――と述べた。
さらに、中被告が捜査段階で「現場近くに被害者のかばんや着衣を捨てた男を見た」と話した点に言及。犯人しか知り得ない被害者の所持品の特徴を説明したことが「秘密の暴露にあたる」と主張した。
これに対して弁護側は、住民の目撃証言について「夜間、自動車を運転しながらの目撃で、十分に視認できるかの問題がある」と主張した。防犯カメラの映像についても、画像が不鮮明で被告と特定するのは難しいと指摘。被害者の所持品をめぐる被告の説明に関しては「検察官に誘導された」などと反論した。(玉置太郎)