産経新聞社

新聞倫理綱領・記者指針

 産経新聞社は、報道機関としての社会的使命に照らし、「人間の尊厳に最高の敬意を払い、個人の名誉を重んじプライバシーに配慮する」(新聞倫理綱領)という立場にたち、自主的に「産経新聞社記者指針」を策定しております。個人情報保護法で適用除外となっている報道分野においても、以下に示す両規範に基づき適切な保護に努めます。

新聞倫理綱領(平成12年6月21日制定)

 21世紀を迎え、日本新聞協会の加盟社はあらためて新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓い、新しい倫理綱領を定める。

 国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。

 おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである。

 編集、制作、広告、販売などすべての新聞人は、その責務をまっとうするため、また、読者との信頼関係をゆるぎないものにするため、言論・表現の自由を守り抜くと同時に、自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない。

自由と責任

 表現の自由は人間の基本的権利であり、新聞は報道・論評の完全な自由を有する。それだけに行使にあたっては重い責任を自覚し、公共の利益を害することのないよう、十分に配慮しなければならない。

正確と公正

 新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである。

独立と寛容

 新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。他方、新聞は、自らと異なる意見であっても、正確・公正で責任ある言論には、すすんで紙面を提供する。

人権の尊重

 新聞は人間の尊厳に最高の敬意を払い、個人の名誉を重んじプライバシーに配慮する。報道を誤ったときはすみやかに訂正し、正当な理由もなく相手の名誉を傷つけたと判断したときは、反論の機会を提供するなど、適切な措置を講じる。

品格と節度

 公共的、文化的使命を果たすべき新聞は、いつでも、どこでも、だれもが、等しく読めるものでなければならない。記事、広告とも表現には品格を保つことが必要である。また、販売にあたっては節度と良識をもって人びとと接すべきである。

記者指針(平成13年6月1日)

 「ベストワンの新聞」をめざす産経新聞の記者は報道や論評の質の高さだけでなく、その行動でもまた高い信頼性と品性が求められる。そのことに思いを致し、ここに「記者指針」を定めた。「産経信条」と合わせて、産経新聞記者は常に心に刻み込んでおかなければならない。

自由と責任

 表現の自由は人間の基本的権利であり、新聞は報道・論評の完全な自由を有する。それだけに行使にあたっては重い責任を自覚し、公共の利益を害することのないよう、十分に配慮しなければならない。

 1.記事が客観的な事実なのか、あるいは記者個人の意見または推論・批評・期待なのか明確に読者に分からせる書き方をするよう心掛けねばならない。事実に基づかない記事や裏付けを欠く記事は、いかに客観性を装っても露見するものであり、それは産経新聞社にとって読者の信頼を損ねる自殺的行為となる。見出しについても同様である。

 2.写真もまた正確かつ公正さが求められる。捏造はコンピューターの発達によって容易になしうる。写真ジャーナリストの良心と良識は一段と重みを増していることを自覚しなければならず、意図的に画像を操作したときは、その旨を明記しなければならない。

 3.産経新聞記者は情報源秘匿の約束をした場合は必ず守る。明確にオフレコの約束をした場合も同様である。これを厳守するためにも秘匿やオフレコの安易な約束は避けなければならない。

 4.著作権は守らねばならず、盗作・剽窃は懲戒処分の対象となる。とくにネット上で多くの情報が容易に入手できる今日の状況は無自覚による盗用が行われやすいことに注意する必要がある。引用は公正を貫き、我田引水であってはならず、出典は明示しなければならない。

人格の尊重

 産経新聞記者は個人の名誉と人権を重んじ、プライバシーに配慮すべく、以下の点に万全の注意を払う。

 1.取材、報道、論評にあたっては人種、性別、宗教、国籍、職業などによって差別してはならない。

 2.事件や事故の取材にあたっては発生した原因や動機、背景について科学的ないし合理的報道に重きを置くよう心掛けるべきである。被害者の家族などプライバシーに関わる報道については公共の利益にかなうと判断できる場合において最小限にとどめる。

 3.過去においてメディアが無実の人を犯罪者のように扱った苦い経験を教訓として、裁判で有罪が確定されるまでは慎重な上にも慎重な立場を堅持しなければならない。

 4.特定個人についての批判記事を書くにあたっては、誹謗中傷を避けることはいうまでもなく、あくまで事実に即し、感情に流されないよう抑制的な内容にとどめる配慮が必要である。

品格と節度

産経新聞が文化的公共財としていつでも、どこでも読める新聞をめざすには、当然のことながら品格と節度は欠かせない。それはまた産経新聞記者の誇りでもある。そのためには産経新聞社や自らを卑しめるような行動は許されない。

 1.品格と節度を逸脱しないようにするためには記者一人一人が日ごろから記者倫理について思いを巡らし、自らを律していく自主的な姿勢が何よりも肝要である。

 2.「産経新聞社 記者指針」の精神は産経新聞社を退社した人々もこれを尊重し、後進の範としてよき伝統を連綿と継承していくことが求められる。

 この「産経新聞社 記者指針」は平成12年6月に制定された日本新聞協会の「新聞倫理綱領」に基づき、またこの綱領を実りあるものとするためにつくられた同協会新聞倫理綱領検討小委員会委員長の「新聞記者行動規範」を踏まえて策定したものであることを付記する。