【山口敏太郎のアタマ】
読者の方から、下記のメールをいただきました。
▼読者の方からのメール
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いつも楽しく拝見しております。
山口敏太郎氏の件にてメール致します。
おそらく九州大学医学部第二外科、前原喜彦教授グループの研究だと思います。論文を読んでおりませんが、英国の医学誌「GUT」に発表されるとのことです。
行動科学的な見地から言えば、呼気であれ尿であれ、健常者と疾患者の臭気が異なるのであれば、これを犬がかぎ分けることは十分に可能です。
ただ・・・
この話が科学的価値を全く持たないのは、「犬が臭いをかぎ分ける高い能力を持つ」ことと「健常者と疾患者の呼気と尿の臭いは異なる」以外のことは何も言えません。内視鏡検査を受けて胃に異常があった人とそうでない人の呼気・尿を採取して「犬の訓練センター」でオペラント条件付けを行った犬が存在するというだけで、麻薬犬と変わらないわけです。
しかしこの実験が酷いのは・・・
「胃に異常がある人」と「大腸に異常がある人」を見分けられるのか?という検証を全くしておりません。あくまで「胃の内視鏡検査」をした人だけを対象として実験されているのです。
物理学の世界と、医学の世界の大きな違いは、医学的言明には、統計学が用いられていることが多く、その因果関係が明瞭ではないことです。相関性があるかどうかを統計学を用いて検証しているのですが、どうも医者というのは、統計学に疎いのか、とんでもない間違いを犯します。
この場合、「胃の内視鏡検査」をした人をサンプルとして、健常者と疾患者を見分けられる犬がいることは、特に驚くことでもありませんが、驚くべきことは・・・
胃以外を患っている患者の呼気と尿を採取して、「胃に異常がある患者だけを特定できるのか」という実験を行っていないことです。もし「咽頭・肺・小腸・大腸等を患っている」方の呼気と尿を、「胃を患っている」人と見分けられるというのなら、これは驚くべきことですが・・・・
胃の内視鏡検査をした人「だけ」をサンプルとして見分けられたから、どうして犬が「胃疾患」が見分けられるという結論に至れるのか?頭が悪すぎるのか?むしろ驚くべきことは、九州大学医学部教授ともあろう人が、統計的推論の初歩的な間違いをしていることです。この実験で言えるのは「病人と健常者を呼気や尿の臭気で見分けられる犬を訓練できる可能性」だけです。
「胃」は関係ありません。
この手の統計的間違いにひっかかる山口敏太郎は、相当に頭が悪い。こんなのすぐにわかるだろうに(笑)まずは山口氏は、「超」能力を検証する前に、自分が頭が「超」悪く、物事をきちんと認識できないことを「検証」したほうが良い。
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▼大槻からの回答
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山口敏太郎の、私に対する個人攻撃についての詳細な検討、ありがとうございました。
『犬がガンの臭いを嗅ぎ分けて合図した』という論文がアメリカで出たので大槻は間違った、という敏太郎。実際にはお話のとおり、問題ある論文でしたね。
それより彼の言動が許せないのは『大槻は物理科学以外の分野(医学や動物学、文化人類学、民俗学など?)に言及するな』というものです。しかし、私の言動はそんな専門の学問に対するものではありません。例えば政治なら、『靖国神社に参拝しない民主党閣僚の方が自民よりまだましだ』という私の言動は政治学の学問ではなく、反戦的な庶民の感想。例えば経済なら、『韓国のハイテク分野の大きな発展は、実はたいしたことではない。なぜなら大学の理工系大学院のレベルが相当低いからだ』というのは教育学でも経済学の学問に対する言及ではないのです。単なる感想です。医学や民俗学などでも同じこと。
笑えるのはかくいう敏太郎はじめ、オカルトバカは大抵は文系(文系ですらない)なのに、自然、宇宙、生命などに超常現象が存在する、と主張しています。それこそ『理系の学問、自然科学の学問に余計な口出しするな!』です。
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