高木マニア堂

何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。

282:追悼・小池要之助監督~工藤探偵事務所は今

ノンセクション2010年12月21日 08:05 | フォルダ : 

関連キーワード :テレビ映画

<2010年10月=東スポ携帯サイトより>



 9月22日、テレビドラマや映画で活躍した小池要之助監督が気管がんのため亡くなった。享年68。

 それまで「それ行け!カッチン」(昭和50年=TBS系)、「バトルホーク」(昭和51年=東京12チャンネル)など、児童向け作品でメガホンを取っていた小池監督だったが、その名を多くの人に印象づけたのは、何といっても松田優作主演の人気ドラマ「探偵物語」(昭和54年=日本テレビ系)だろう。

 助監督として同作に参加していた小池監督が初監督を務めたのは第19話「影を捨てた男」。その前週、探偵物語の名物だった、松田優作のアドリブ全開の予告編が実にすごかった。

「1980年、ニューシネマ時代の到来だ! この80年代初頭のヌーベルバーグを飾るビッグな監督が探偵物語に登場。その名も小池要之助! 山口県は下関出身。何を隠そうこの松田優作も、あの片桐竜次も、なんとなんと山口県は下関出身なのである。下関よいとこ一度はおいで。とにかく、ものすごい長い時間、助監督を務めながら、涙でこの日を待っていた小池要之助。小池はえらいぞ!
 年のクセに…。そのデビュー作『影を捨てた男』、これ1本でこいつは終わりになるだろう!」
と叫び終わるや、画面では車が大爆発→炎上という演出だ。

 たった30秒の予告編のみで、全国の視聴者に「下関出身」「ものすごい長い年月を助監督としてた苦労してきた人」、「結構、いい年らしい」「でも、この1本で終わりになるそうだ」なんて、ドラマとはまるで無関係な、余計極まりない小池監督情報が刷り込まれてしまったのである。

「これ1本で終わり~」と断言された小池監督だったが、探偵物語の最終回「ダウンタウン・ブルース」でも監督を務め、松田優作扮する探偵・工藤が刺殺される場面をハードに描きつつドラマの幕を引いた。

 だが6年後の昭和61年。小池監督、松田優作の主演で撮影がスタートした
「ア・ホーマンス」で両者は対立。小池監督が降板し、同作は松田優作の初監督作品となった。そんな未来を知った上で見ると、あの愉快な予告編も笑えない…。

 そんな探偵物語の工藤探偵事務所のロケ地には東京・神田淡路町にある病院(位置的には万世橋の旧交通博物館のそば)が使用されていた。

 もう時効になるだろうか…。16年前、私は見舞い客に混じって、この病院に潜入し、建物の内部を見学したことがある。

 建物は昭和4年の建築。戦災をも免れた建物は、ステンドグラスなどを豪華に使用しており、まさに「レトロモダン」の極み。オープニング映像で工藤探偵が手を叩きつつ闊歩するバルコニーや、番組のタイトルバックに使用されている緑色のドアは当時のままだった。

 鉄柵などはかなり朽ち果ててはいたが、ステンドグラスの内装も美しく、いまにもナンシー(ナンシー・チェニー)やかほり(竹田かほり)、服部刑事(成田三樹夫)や松本刑事(山西道広)が乱入してきそうな雰囲気が残されていた。

 建物は1998年に解体。つい先日、秋葉原で買物をしたついでに、久々に工藤探偵事務所跡地を訪れてみたら、なんとなんと真新しい老人ホームに生まれ変
わっていた。

投票してね!東スポトピックスランキング

この記事をブックマークする Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに追加 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに投稿 newsingに投稿 Choixにブックマーク イザ!にブックマーク twitterでつぶやく

前の記事次の記事

このページのトップへ