姫路・西播磨
「手作りしめ縄」地域に届け半世紀 佐用の夫妻
「人のためにできることを」と長年、手作りのしめ縄を配り続けている藤田昭四士さん(右)とヒサコさん=佐用町東徳久 |
佐用町東徳久の藤田昭四士さん(81)、ヒサコさん(79)夫妻が半世紀以上に渡って手作りのしめ縄を地域の学校や公共施設などに配り続けている。太平洋戦争では特攻隊員として出撃命令を受けたが、終戦を迎え、生き残ったという昭四士さん。「生きて戻ったからには地域や人のためになることを」と、稲わらを握る手に力を込める。
昭四士さんは1944年、15歳で、旧海軍に志願入隊。鹿児島県鹿屋市の鹿屋航空基地に、特攻隊員として配属された。45年2月ごろ「出撃命令」が下りたが、飛行機が足りず、待機している間に終戦を迎えた。
昭四士さんが配属されたとき、約30人いた隊員は出撃のたびに人数が減った。終戦時、残ったのは、昭四士さんを含めわずか4人。「若いおまえは少しでも長く生き延びろ」。出撃を代わってくれた年上の隊員も二度と戻って来なかったという。
戦後、佐用町に戻って二十歳のころから運送会社で働き、大型トラックで全国を走り回った。取引先の酒造会社から、米俵のわらで、しめ縄作りを依頼されたのがきっかけで始めた。
評判が口コミで広まり、大勢の顧客から頼まれるようになった。会社の定年を機に、地域でも配り始めた。今年はヒサコさんと2人で、大小約160個を作り上げる。
縄に使うわらも自家製で、毎年9月ごろから準備を始める。干したわらをひたすら打ち続ける作業が「一番の重労働」だという。12月に入ると、縄をない始める。農業倉庫横の作業場で、横に座るヒサコさんが御幣などをタイミングよく手渡し、あうんの呼吸でしめ縄が出来上がっていく。
完成したしめ縄は順次配っており、今年も作業は大詰めを迎えている。昭四士さんは「これがないと新年を迎えられんと言ってくれる人たちの笑顔が励みになる」と、わらで荒れた両手をさすりながら目を細めている。
(小西隆久)
(2010/12/21 09:15)
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