2010年12月20日17時0分
動画配信サイト大手の「ニコニコ動画」への投稿に、浜崎あゆみさんらエイベックス・グループに所属する人気歌手の楽曲が使えるようになる。著作権法で必要とされる許諾の手続きを、同サイトとエイベックスとがまとめて契約することで不要にする。文化庁著作権課によると「過去に例がない契約」といい、20日夜に両社から発表される。
ニコニコ動画を傘下に持つドワンゴとエイベックスが、包括利用許諾契約を結ぶ方針を20日までに固めたもの。浜崎さんや倖田來未さん、大塚愛さんをはじめ、Every Little Thingら人気アーティスト、グループを対象に、来年2月のサービス開始を目指す。利用できる楽曲は数千〜数万曲規模になる見込みだ。
使用が許される曲名は、ニコニコ動画のサイト内で利用者が調べられるようにする。CDなどから対象曲の一部または全部をコピーし、投稿する動画や静止画の背景に流すことなどができるようになる。リミックス版の作成など曲の改変も、一定程度は認められる見通し。ただし、歌詞をわいせつな言葉に変えるなど、歌手らのブランドイメージを損なうような使用に対してはサイト側が削除する。TV番組など他の媒体で流されたものも、従来通り使えない。
動画サイトでは、投稿者による楽曲の不正使用が相次ぎ、レコード会社など権利者が削除を求めても、いたちごっこが繰り返されてきた。そこでドワンゴ側が、一般投稿者に代わって楽曲の使用料をまとめてエイベックスに支払うという方法で、違法状態の解消を図ることを狙った。エイベックスにとっては使用料を受け取ることができるほか、楽曲配信の宣伝効果にもつながるとのメリットがある。
ニコニコ動画やユーチューブなどの動画サイトはこれまで、投稿者が演奏したり歌ったり自演する楽曲は配信できる契約を日本音楽著作権協会と結び、サイト収入の2%を支払っている。ただ、ニーズの多いCDなどからアーティストの演奏をそのままコピーして配信することは許されていなかった。(赤田康和)
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〈ニコニコ動画〉 1日280万人が利用する、国内企業では最大級のインターネット動画配信サイト。利用者が投稿した動画のほか、サイト事業者が制作する「生放送」では新聞・テレビへの露出を抑えていた民主党の小沢一郎元代表が出演し、話題を集めた。またアニメ・映画などのコンテンツを持つ角川グループとの提携を発表している。メールアドレスなどを登録すれば誰でも無料で利用でき、会員数は1890万人。