裏金疑惑:「『韓元首相に9億ウォン』は作り話」(下)

 一方、ハン被告は、07年4月と同年8月に計6億ウォン相当の金を韓元首相に渡したとされる件については、「(07年4月に渡したとされる)1億3000万ウォンはわたしが使い、残りは(京畿道高陽市)一山のH教会の工事の受注で手助けしてくれたK氏とP氏に謝礼として渡した」と証言した。

 検察が入手した会計帳簿には、問題の金について、「ハン」や「議員」などの文言が書かれていた。帳簿を作成した元経理部長のJ氏は、今月6日の公判で「韓元首相を指す」と証言した。

 これに対し、ハン被告は「『ハン』はわたしの姓を書いたもので、そのほかはJ氏が推測で書いたものだ」と反論した。

 検察は、韓元首相がハン被告を支援するため、首相在任中の06年12月20日、首相公館にハン被告と中堅建設会社の代表者二人を呼び、夕食会を開いた、と主張した。また、韓元首相はハン被告のため、07年4月ごろに(ハン被告が工事を受注した)H教会の関係者らと食事会を開いたこともあるという。ところが、ハン被告は首相公館での夕食会について、「わたしが(韓元首相の)選挙事務所が入っている建物のオーナーだから、一緒に食事しようとして出掛けたものだ」と証言した。

検察「ハン被告はすぐにばれるうそをついた」

 ハン被告はこの日の法廷で、検察の質問に対し、「検事さんがそう言ったから、『はい』と答えたにすぎない。確かに『はい』という返事はしたが、実際にはよく覚えていないようなことを、思いつくまま話した」と証言した。 

 これに対し検察は、「客観的な事実や、ほかの証人による証言とも食い違っている。すぐにばれるようなうそだ」と切り捨てた。

 また検察は、ハン被告が法廷で「金を渡した」と証言したK氏とP氏について、公判中に証人申請したが、裁判所は「韓元首相側でまったく準備ができていないため、二人を証人として呼ぶのは手続き上正当とはいえない」として受け入れなかった。これを受け検察は、両氏を来月4日の第3回公判に証人として呼ぶよう申請した。

 検察は、「K氏らは『金を受け取ったことはない』と怒りをあらわにしているようだ」と話した。また、ハン被告が「キム・ムンスク氏に貸したという3億ウォンについても、「小切手を受け取った事実まで判明したため、ハン被告が苦しい弁明を迫られた末に作り話をした」と主張している。

李明振(イ・ミョンジン)記者

鄭智燮(チョン・ジソプ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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