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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.11

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大高宏雄の興行戦線異状なし Vol.11

2010年12月21日

◎2011年正月興行中間報告、予想下回る作品続々

 2011年の正月興行が、真っただ中である。当然まだ、正月には入っていないが、便宜的にそうした言い方で、11月末から12月に公開される作品のこの時期の興行をそう呼んでいる。もはや正月興行の本命とも目されてきた「相棒 劇場版Ⅱ」などの期待作がいまだ未公開のなか、現在までの中間報告的な正月興行を、数字のみの客観的なデータで分析してみると。

 11月19日から公開された「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1]は、12月19日現在で興収49億1千万円を記録しているが、最終章のパート1としては、いささか物足りないかもしれない。最終的には、70億円台が一つの目安と言えよう。このシリーズは、新作ごとに10~20%ほど興収を下げてきたが、本作もまた今のところ、その推移に“忠実な”展開になっている。

 12月1日から公開された「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は、同じく19日現在で22億9千万円を記録した。公開当初は最終50億円が見込まれていたが、これは少し下げなくてはいけない。40億円には乗ると思うが、こちらも予想を下回っている。

 この17日及び18日から公開された新作では、何と「仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル~」がトップに立った。「トロン:レガシー」とかなり差がついたので、驚いた映画関係者も多かったと聞く。「トロン~」のスタート3日間は、「ナイト&デイ」(最終23億3千万円)と比べると、何と2億円以上下回った。これから学生たちの休みに入るから、「ナイト~」との単純な比較はできないが、予想をかなり下まわったのは間違いない。

 「シュレック フォーエバー」は、「ヒックとドラゴン」(最終9億円)より少し良く、「最後の忠臣蔵」「バーレスク」とも、2日間で1億円に届かないスタートとなっている。本来なら、今の時期は正月興行のメインどころが大方出揃い、各劇場はどこも賑わいを見せているはずだが、今年は少し様子が違っている。

 さて、今後はどうか。先に述べた「相棒 劇場版Ⅱ」に、一身に期待が集まっている状態だと言えようか。3Dアニメの「劇場版 イナズマイレブン~」も期待が高いが、年明けに爆発的な動員を見せた昨年の「アバター」のような作品が見当たらないだけに、全体としては昨年の正月興行実績を下回る可能性が高い。

 正月興行作品のこれまでの推移、新作のスタート状況は以上である。何らかの注釈を加えるのは、今後の展開を見てからにするが、一つ気にかかるのは、若者を中心にした相変わらずの洋画離れといったここ数年続いてきた事態は、それほど変化していないのではないかということである。これは来年、数多く公開される米3D映画とどうかかわりをもっていくのか。このあたりも、注視していく必要があると思う。
                                                      (大高宏雄)

※記事は取材時の情報に基づいて執筆したもので、現在では異なる場合があります。


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