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2004年1月号
2004年1月38日発刊
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第一特集
新・大切なお肉の長期保存(前編) 第二特集
国営放送来襲 連載記事
投稿記事
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第一特集
新・大切なお肉の長期保存
年に一度の干し肉大作戦
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一九九九年八月、『耐乏PressJapan.』はひっそりと創刊されました。当時の編集能力では扱いきれない特集……肉の長期保存法を引っ提げて。あれから、気がつけば数年。いよいよ、貧乏人にとってあこがれの存在であるお肉を本当に長期保存するための特集として、新たなスタートを切ってみようかなあなんて。 |
◆塩漬けの限界 | |
肉を塩漬けにすることで長期保存を試みる。生肉に比べれば、そりゃあ確かに長持ちいたします。けれど、こいつにだって、“長期保存”と呼ぶにはちょいと弱点もあるのです。 塩漬けのまま冷蔵庫に保管しておきますと、その間、肉は熟成を続けます。一ヶ月ほど熟成させた塩漬け肉は絶品と呼ぶにふさわしい味わいを楽しませてくれます。が、しかし、熟成も、それ以上に進んでしまうと、肉としての味は損なわれていきます。塩抜きをすることで熟成を止めることも可能ながら、そうしますと、今度は保存性が失われてしまう。肉を、冷凍せずに長期保存させるという試みはこの程度が限界なのかと、むむむっと眉間に皺など寄せて思い悩んだ方もいらっしゃるかもしれません。 塩漬け肉が腐りにくいわけは、腐敗の原因となる水分が抜けるからでした。でも、これも完全に抜けてはくれませんから、一ヶ月ほどの保管であっても冷蔵庫がなければ不安というのも弱点のひとつでしょう。 まあしかし、逆に考えたなら、熟成を止め、水分を完全に失わせる方法さえあれば、肉はいつまでも、喰っちゃわなければ傍にいてくれるってなことになりますね。 では、一年間くらい連れ添ってもらおうではありませんか、肉に。 |
◆干し肉、脅威の保存食 | |
話は簡単です。塩漬け肉にその弱点を克服させ、もっと長く、冷蔵庫がなくても今年一年を添い遂げてもらうには、干し肉にしてしまうのです。塩漬け肉にもうひと手間をかけるだけで保存性は格段に向上するのですから、こいつを試さない手はありません。 簡単に手順を説明しますと、肉塊の塩漬け及び熟成、塩抜き、風乾のみっつを経験させるだけです。 肉塊を塩漬けにすることで水分を取り除き、腐敗防止、殺菌を行い、熟成させます。ここで、第一弾の旨味が引き出されるのですね。経験者ならば、あの発酵感は癖になっているはずです。 そんな塩漬け肉の弱点でもある、過度の熟成によるバランス崩壊は、塩抜きを行うことで止めます。塩が抜けると、熟成も緩やかになるのです。 しかし、塩抜きの際に水に晒すことで、塩漬け肉には若干の水分が戻ってしまいます。塩でしっかりと締まっていますから、がばがばと吸い込むことはありませんけれど、それでも、腐敗の元凶となる水が入り込むことで、塩漬け肉として保管し続けることはできなくなってしまうのです。 まあ、もうお気づきでしょうけれど、それだったら、吸い戻された水分はまた奪ってしまえばなんの問題もありません。風乾……要するに、風で乾かしてしまえば、洗濯物のようにさっぱりと乾くのです。 ここで注意することは、高温多湿をさけ、直射日光に当てないことくらい。冬ならば、日中でも日陰に吊るしっぱなしでいけます。 僕の場合は、冬に一・五キログラム前後の肉塊を買い求めて干し肉を作り、それを、次の冬までちびちびと使います。このくらいの量があれば、一年を肉と共に過ごすのにちょうどよい感じです。 魅力いっぱいの干し肉作り、今月は、塩漬けと熟成を一緒にやってみましょう。 |
◆肉は断然、豚肉を | |
まず、どんな肉を乾物にすべきかという問題について考えねばなりませんが、結論から言えば、豚肉を使ってください。 消去法で考えれば、その理由は自然と導きだされます。 牛は、ジャーキーを作るにはまことに旨いのです。けれど、干し肉といえば塊です。こうなりますと、二つの問題が浮上してきます。 まず、僕が塩漬け肉を初めて教わった際に聞いた話。牛を干しても、どうやらあまり旨くないようです。いや、実は試したことがないので本当はめっちゃ旨いのかもしれませんけれど、そこには、もうひとつの問題がありますね。そう、牛肉は高い。これだけで、貧乏人にとっては消去の対象になるのです。 貧乏人の口にもなんとか入ってきてくれたアメリカ産の牛肉も入ってこなくなった今、あえて牛肉を選ぶことには意味を探し出せません。いつかは、本当に旨くないのかどうかを知るために挑戦する日もくるでしょうけれど、それはおそらく、今ではありません。 この際、牛肉のことはきれいさっぱりと忘れましょう。 というわけで、残るは鶏と豚になります。財布に優しい肉といえば、断然、これは鶏肉になります。でも、こいつにも、今回は外れていただくことにしようではありませんか。 ええ、もちろん比較的安価な肉ですから、僕だって干し肉にしました。でも、豚に比べて、どうしても味が落ちるのです。なんかこう、生で喰っときゃ良かったと思える程度の味にしかならないのです。 完全に乾かすのではなく、ちょっと回りが乾いたかな、くらいの段階で薫製にするならば、鶏肉は旨いんです。それもやりました。でも、これだとやはり保存性は干し肉に劣りますから、今回の目的からはそれちゃうのです。そしてなにより、比較的安価という部分が、干し肉にする必要性も失わせてしまいます。 がんばれば買える肉。ならば、わざわざ保存食にすることもないのです。干し肉作りには少なからずの手間を必要とするわけですから、生で喰いたいときにちょっと思い切れば買える鶏肉を干す必然はないと思うのです。 というわけで、干し肉は豚。肉塊として買い求めるには勇気のいる価格ですけれど、一年を肉とともに過ごせるのですから、冬にあわせて豚肉貯金をしておくだけの価値はあるのです。 |
◆必ずブロック肉で | |
これは、干し肉に限ったことではなく、肉を塩漬けにする際の鉄則ですけれど、必ずブロック肉、つまりは肉塊を用意してください。 これは簡単な理で、スライス肉は漬かりすぎてしまうのです。 漬け物を思い出してください。たくあんを漬けるのに大根を輪切りにすることはありません。糠床に胡瓜を入れるときだって、そのまま突っ込むわけです。浅漬けならば輪切りや乱切りにしますけど、これは、肉でいうところのジャーキーですね。 ここでけちって豚の細切れ肉を用意したとしても、無駄に不味くしてしまうだけなのです。 これで、“豚肉”の“肉塊”を使用することはご理解いただけたかと思います。残る要素はどの部位を使うかになりますが、これは、財布と相談してください。 まさか、ここで耳とか尾を手に入れてくる人もまず居ないと思いますが、耳は茹でて胡瓜の千切りと一緒にドレッシングや酢味噌で頂く方が旨いです。泡盛があれば泥酔は確実ってなもんです。 無難なのは、バラ肉や肩ロースなど、一般にベーコンとして使われる部位です。でもまあ、やや味は劣るとはいえ、もも肉でも十分に旨い干し肉になってくれます。実際、僕も昨シーズンはもも肉を使いましたから。 肉塊は、スーパーで買うと高いですから、業務用量販店などで買い求めるとよいでしょう。ただ、その手の店は生半可なグラム単位は扱っていなかったりしますから、心配ならば、四、五百グラムの肉塊をスーパーや近所の肉屋で仕入れた方が、万が一の際にはダメージも軽く済みます。 |
◆大切な塩漬けの準備 | ||
それでは、今年一年を肉と暮らすための儀式を始めましょう。 大枚を叩いて手に入れた肉塊です。失敗は許されませんから、ここからの作業は、きちんと手塩にかけて育てるべく愛情を注いでください。 塩漬け肉のために用意する物は、以下の通りです。
実際の行程に入る前に、準備段階の補足をしておきます。 まず、塩。これは、なるべく自然塩を利用してください。塩漬け・干し肉における唯一の味付けである塩の旨さは、完成時の味を大きく左右するのです。自然塩、沖縄の塩とか赤穂の塩なんかが有名ですけれど、これらの塩には、しょっぱいだけの塩化ナトリウムには存在し得ない“甘み”、それは即ち“旨み”が含まれているのです。 干し肉を作ろうと心に決めた時点で、肉の購入と言う巨大な費用が計上されるのです。ここはもう少し奮発して、良い塩を手に入れましょう。 塩代をけちって哀れな干し肉にさせないでください。 貧乏人ならば自炊が基本ですから、包丁とまな板は持っていると思わせてください。なければ借りてくるという方法が手っ取り早いですが、刃物の貸し借りはしないという心掛けだけは、小さくてもよいですからどこかに引っ掛けておきましょう。 クッキングスケール、バットあたりになると、貧乏に降りたての独身者は持っていないかもしれません。自炊するなら必須のアイテムですけれど、肉を購入してしまった今、これを揃えるのは辛いでしょう。ああ、ちなみに言いますと、クッキングスケールというのは料理用の計りのことです。 クッキングスケールは、肉と塩の重さを量るのに使います。もし、購入した肉の重さがわかっていれば、計量スプーンでも十分に役割は果たせます。五%の塩で漬けるならば、『肉塊のグラム×〇・〇五』で導きだされた重さの塩を計量スプーンで用意しましょう。 塩は、小さじが六グラム、大さじで一八グラムです。これはもちろん擦り切り一杯のグラムです。 もし、あなたが計量スプーンすら持っていない料理初心者というか組み立て専門な人である場合、仕方がないのでどこかからクッキングスケールを借りてきてください。次に、台所や部屋を家捜しして、計量スプーン的なものを用意。これは、清潔にできる物ならば、洗剤に付いてくる小型のスコップでもフィルムケースでもかまいません。 借りてきたクッキングスケールで六グラム、一八グラムの塩を用意して、それを探し出した計量スプーン的品に平に押し込めます。あとは、その位置に目印として傷を入れるなり、マジックで線を引くなりするだけで、計量スプーン的なものは、立派な計量スプーンになるのです。 あとは、バットをどうするかですね。 これは、大きめの発泡トレーがあれば十分に代用できます。スーパーの発泡トレー回収ボックスから、汚れや破れのないものを見繕ってきましょう。 ラップもしくはビニル袋は、ラップの特売がなければスーパーでビニル袋をくるくる絡めとってくれば大丈夫。できれば、大きめの袋も一枚、用意してください。 |
◆塩漬けによる水抜きと熟成 | |
道具と材料を揃えましたら、台所を軽く掃除しましょう。保存食を作る場合、日常の炊事よりも少し強めの衛生を心掛けてください。決して雑菌まで保存することのないようにしたいものです。 というわけで、おもむろに肉塊を包丁で切り分けます。 ひとつの塊の目安は、三、四〇〇グラムです。五〇〇グラム前後の塊を用意された方ならば、そのままでも大丈夫でしょう。 肉塊なんてのは、もちろん、仕事で関わることでもなければ扱いなれていないはず。上手く切るこつは、なんといっても包丁の切れ味です。ちょっと研ぐだけでも切れ味は変わりますから、肉を切る前、そして切った後にも軽く研ぐようにしましょう。 肉を切ったらバット、もしくは大きめの発泡トレーにのせ、計量した塩を手で軽く擦りつけます。気合いを入れてごしごしする必要はありませんが、肉の表面に塩の白が薄く均一に舞い降りたような感じにしてください。 塩の割合は、肉に対して五%以上あれば大丈夫ですが、長期保存するための肉ですから、ちょっと強めくらいが吉。僕の場合は、七%〜一〇%と強気に攻めます。ちょっとくらい保存性が落ちても塩辛いのは避けたいという微妙な体調の持ち主でも、必ず五%は使ってください。塩が少ないと水が抜けきれず、肉が傷んでしまうのです。 塩をまぶしたら、バット全体を覆うようにラップをかけるか、大きめのビニル袋で包み、冷蔵庫に保管します。 塩に漬けられた肉からは、腐敗の原因である水分がじゅるじゅると抜け出します。発泡トレーを使っている場合は溢れないように注意しましょう。 肉塊から排出された水は、一日一回は捨ててください。いくら肉の中から水が抜けても、その水に浸ったままでは肉も傷みます。おそらく、三日くらいで排水は止まりますけれど、念のため、一週間はバットにのせたまま様子を見てください。 水抜きの一週間が過ぎたら、熟成へと移ります。 水の出なくなった肉塊を、ひとつずつ、空気に触れないようにラップで包み、三週間ほど冷蔵庫内で熟成させましょう。塩漬けにしてから二週間くらいすれば、ちょっと削いでそのまま喰えるようになります。茹でたアスパラガスを削ぎ切りした塩漬け肉で巻いて喰うなんてのはまことに上流階級的味わいですが、使い過ぎると干す前になくなってしまいますよ。 ラップがない場合は、ビニル袋。ビニルの内部が肉にぴたっと張り付くように包んでください。 ラップにしろ、ビニル袋にしろ、肉が空気に触れるとカビの生える危険があります。冷蔵庫は無菌室ではないことを常に頭に。 |
◆来月、いよいよ干します | |
今月は、塩漬けの行程をおさらいするところまでとなります。 いや、なにせこの特集を書いている時点では、ネタとなる僕の肉塊も干し始めたばかりなのです。もう少し早く、せめて十二月に書いていれば、より多くの方が干し肉に挑戦できたかと思うと申し訳なく……。 暖かい地方にお住まいの方ですとちょっと厳しいかもしれませんけれど、三月下旬頃に夜の気温が一〇度以上にならない場所にお住まいの方ならば、まだ間に合います。この特集を読んだなら、すぐに塩漬け作業に取りかかってください。水抜きと熟成の終わるであろう二月末には、たぶん、塩抜きと風乾についてをお届けできるはずです。 干し肉作りのリミットは、僕の住む町ではだいたい、4月いっぱい。桜の咲く頃に塩漬けが完了していれば、干し肉はきっとあなたの手に。 |
第二特集
国営放送来襲
ものしり一夜づけの裏側
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去年の十月、僕はテレビに出てしまいました。NHK総合の「ものしり一夜づけ」という番組、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。この特集は、いわば、僕の言い訳がメインとなっておりますが、そんな中にも、テレビジョンの一面が見え隠れ……してるのかなあ。 |
◆テレビに出ちゃいました | |
おそらく、物心が付いた頃にはテレビを観て過ごしておりました僕も、今ではすっかりテレビ嫌い。まあ、その辺については以前に特集として取り上げましたけれど、あの頃よりも一層、テレビジョン番組と、それを取り巻く人間は腐りきっているのだと考えるようになりました。 なにせ、全日本貧乏協議会などという大層な名前が付いておりますと、「貧乏」と名の付くテーマで番組を作っちゃおうかな! という連中からメールが届くことも多いのです。テレビなんか観てると狂牛病の牛を喰わずとも脳がスポンジになっちゃうだろうなあという思いは、僕の実体験から出てきたものなのです。 何度か、テレビ番組の制作に携わる方々とは電話で話す機会もありました。が、はっきり言って馬鹿ばかりなのですよ、これが。テキトーでイーカゲンで嘘つき。テレビ局の人間ならまだなんとか人として接することも可能ですけれど、製作会社の奴らになると本当に手の施しようもありません。 「ご著書を読ませていただいてご連絡を差し上げたのですけれど、川上さんはどちらに住んでいらっしゃるんでしょうか」 「本に書いてありますが……」 「たとえば、月々の生活費はおいくらくらいなのでしょうか」 「(キャッチコピーすら見てねーのかよ!)」 というやり取りは、もはや定石となっています。ルールを知らない奴を相手に打ち続ける囲碁のような虚無感。人類の可能性を根底から覆すような連中ですよ、本当に。 今日もどこかで、業界人という名の馬鹿が迷惑を振りまいて歩いていることと思われます。奴ら、ここ数年でインターネットにも迷惑をまき散らしてまして、明らかに定型だなあというメールをあちこちにばらまいているようです。ウェブサイトをお持ちの方ならテレビに関するメールの二、三通は受け取ったこともあるでしょうね。 とまあ、悪口ならばいくらでも書けるだけの嫌悪を抱いておりますテレビジョン。ああ、しかし。ご存じの方もいらっしゃることと思いますが、僕は、その、大っ嫌いなテレビに出てしまったのです。 言ってることと矛盾しているじゃあないかという声が痛いほど聞こえてきます。やめてください、石を投げる前に僕の話、いや、言い訳を聞いて欲しいのです。 ええ、もちろん事情があるのです。 ええ、もちろんお金のためではありません。 不要な金銭のために自分の心を痛めてまでテレビに出ようなんて気はさらさらありませんし、ここでお断りをしておくならば、国営放送って取材されてもギャラは出ないのです。……ラジオと酒は貰いましたが……。 そんなわけで、ほんとうは10月号に載るはずだったこの企画。年を超え、いまさら登場する真実とは、いかに。 |
ここで、貰ったラジオというのをご紹介しておきましょう。どうやら、取材協力者へのプレゼント用カタログというのがあるようで、ディレクターがその中から邪魔にならなさそうなのを選んで持ってきてくださいました。“NHK”の文字が一面に印刷された包装紙にくるまれた箱。学習院大学のマグカップ並みの怪しさを醸し出しておりました。 物としては、ソニー製の市販されているラジオですけれど、なんと裏にはアルファベット三文字の印刷。なんとも気合いが入っております。 僕の部屋ではどうにも浮いてしまうので、今は知人の家で丁稚奉公しております。 |
◆テレビジョンの破壊力 | |
テレビに限らず、雑誌やら新聞といったメディアでのインタビューなんてのは、書いてあることはみんな嘘なのです。少なくとも、僕に関して本当のことが書いてあるのは耐乏PressJapan.だけだと言い切ることができましょう。だって、他のメディアに登場する僕は、他人によってつくられた結果なのですから。 メディアの嘘は、誰にだって当てはまります。インタビューの類に登場する僕は、取材する側にとっての材料にされているだけ。僕という材料を使って記事に仕上げ、世の中に発信するのはあっちの仕事であり、材料が関知できることではありません。僕は、貧乏人としてメッセージを発信し続けていますけれど、取材者が僕を素材としてメッセージを作り上げるとき、そこにあるメッセージは僕のものではなくなってしまうのです。 たとえば。貧乏というメッセージは、スローライフにされたり、節約術にされたりするわけです。100%の嘘とは言えませんけれど、他者のフィルターをかけられた情報ですから、僕を捉えようとすればかなり多くの嘘が混じっていることになります。 けれどまあ、各種メディアに登場することは無料で広告を出してもらえるようなものです。自分の書いた本なんて売れなくてもいいと本気で考えていたとしても、それだと遊び場を失ってしまうし、出版社も傾いてしまうのです。一冊の失敗で傾くような馬鹿な経営はしていないだろうとは思いたいですが、最近のニュースを見聞する限り、企業の危機管理は崩壊しております。牛丼屋で牛丼が喰えなくなる世の中です。たまたま本をだしてしまったような僕だって、多少は売り上げに貢献しようと宣伝活動に勤しまなければならないのです。ああ、面倒くさい。 こうして、数々の嘘に登場した僕ですけれど、テレビだけは決して出たくはないのです。あれは、メディアとしては強力すぎるのです。 テレビから流れてくる情報に疑いの眼を向けるなんてのは、よほど賢い人だけです。多くの人が、あれを鵜呑みにしてしまう。インタビューなんて嘘であるという法則からすれば、それが他人のメッセージであっても、視聴者は僕のメッセージだと信じて疑いません。ナレーションの間違いですら、僕の間違いにされてしまうのです。新聞や雑誌は、馬鹿はあまり読みません。けれど、テレビというのは、日本に巣くう馬鹿のほとんどが視聴するわけでして、メディアの中でも突出した破壊力を持っているのです。 そしてなにより、作っている人間も馬鹿というトドメが刺さりますから、テレビへの出演ってのは、宣伝効果と引き替えに自分を捨ててしまう行為なのです。 いやあ、しかしまあ、出てしまったわけです。 まるで説得力がありませんね、これは。 |
◆ディレクターの熱量 | |
さあ、言い訳の始まりです。僕がテレビに出た理由、それはディレクターの持つ熱量の勝利と言えるかと思います。 前述の通り、メディアに取材される時点で僕は嘘になるわけですから、そんなデメリットを上回るメリットがなければ、出るはずがありません。もちろん、金銭とか名誉とか、そういうくだらないものと引き替えに嘘を抱え込むわけにはいきません。 国営放送のディレクターが、僕という材料をもちいてなにを発したいのか。彼女の創るものは、そうまでして協力するだけの価値があるのだろうか。人を試すのが大好きな僕は、ディレクターに対してある問いを発しました。テレビ局の人間にこれを問うのは、二度目のことです。 「僕を使ってなにを発し、視聴者をどう動かしたいのか」 初めてこの問いを向けた相手は、確か民放テレビ局の人でした。この問答、“ものづくり”に従事している人だったら簡単に答えられるはずなのですが、さすがは民放局のひとというかなんというか、見事に音信不通となりましたとさ……ってな具合に実績のある問いです。 実のところは、国営放送のディレクターもこれで避けきれるだろうと考えていました。いまのテレビ業界に、意味のあるテレビ番組を作る能力なんぞはありません。悔しかったら、いつまでも「映像の世紀」の再放送なんか繰り返してないで新しいのつくってみろ、新日本紀行を超える作品を出してみろ、せめて電子立国・日本の自叙伝並みの番組を魅せてみやがれ、プロジェクトXなんかくそ食らえ、なんて酔っぱらいながら吠えてるわけですね、この貧乏人は。 そんなわけですから、まさか、返信のメールが来るとは思っておりませんでした。 容量にして3キロバイト、原稿用紙換算で五枚強の答えの綴られたメール。私信ですので公開するわけにもいきませんが、短く要約いたしますと、「貴方の生き方を見つめてみませんか、というボールを投げたい」とのことでした。 もう少し、この、なんというか、芯を捉えた答えというか、闘争心をくすぐるようなものが欲しいところですけれど、十割の答えなどありはしません。 一介の貧乏人が、社会的地位のある人間に対してキャッチボールと称した大暴投を放ったのです。バウンドしようが、暴投で返されようが、こちらの投げたボールを走って追いかけ、それを視聴者にも投げようというのです。 かえってきた答え云々よりは、その熱量に根負けした感じでしょうか。 僕からの返信メール、書き出しの一行はこんな感じでした。 “まさか、テレビに出ることになるとは思いませんでした” 日程調整の始まりです。 |
◆テレビカメラが射貫くもの | |
約束の日、ロケ隊がやってきました。 ロケ隊と言っても、ワゴン車でやってきたのは四名。けれど、うち一人は運転手さんのようでして、三人の人と荷物を降ろし終えるとすぐ、邪魔にならぬように車ごとどこかへ消えてしまいました。 たしか、我が貧家でロケが行われたのは九月三十日、十月一日の二日間。放送を御覧になった方ならばご存じでしょうけれど、番組内で僕について触れられたのは八分ほど。こんなしがない貧乏人が国営放送の電波に八分間も流れると言うのも問題ではありますが、そんな八分をつくるためにも泊まり掛けでやってくるのです。 まあ、陸の孤島気味な町とはいえ、自動車で来る分には日帰りも可能な場所。はたして皆様の受信料は無駄に使われているのか!? という疑問は、後ほど解消させていただきます。 とりあえずは簡単な挨拶と、どのような感じで撮影するのかを打ち合わせるというか雑談するというか、そんな感じで幕開けです。 ロケ隊の構成員は、ディレクター、カメラ、音声という構成。現在、渋谷のNHKはカメラ機材をすべてハイビジョンに切り替え終えているということで、巨大なカメラと小さなビデオテープ、撮影用ライト、そして、惚れ惚れするほど大きく丈夫な三脚が運び込まれております。映像と写真。出力されるものは違えど、やはりカメラと名の付く物ってのは、どうもきになるのですね、自称・写真家としては。 いざ取材が始まりますと、ハイビジョンカメラの巨大レンズにぐぐっと睨まれるわけです。戦場で、テレビクルーが狙撃されるのもわかる気がします。バズーカと見間違えられたって文句は言えません。バズーカを向けられながら普段通りにしてろって言われても、違和感を拭いきれるわけもなく。普段どおりにと言われたところで、すべてをいつものままにってわけには行きませんね、これは。 僕が人物を撮るときは、なるべく簡素な機材でまとめるべきだなあなどと、まるであさってのことを考えながら、撮影は続くわけです。 そんな取材、すべてが僕のペースってわけではありません。 取材の時間は限られていますから、あれをやっているところを、これをやってください、という注文はもちろんあります。まあ、取材を受けた以上、言われたことをカメラの前で再現することは同意しておるわけですけれど、やるべきときに行われた作業でないことも事実。一日中へばりつくわけにもいかないでしょうし、へばりつかれても大変です。 実際に本人を取材した映像であっても、再現フィルムの域は出ない。これは、ドキュメンタリーとかノンフィクションと呼ばれる種類の番組であっても、言えることでしょうね。 まあ、取材と名の付くものすべてに当てはまることではありますけれど、前述の通り、テレビジョンの破壊力は他のメディアを圧倒します。 あの放送、流れる情報に対して、僕が後ほど指摘する“嘘”を見抜けた方は、はたしていらっしゃったでしょうか。 |
◆避けられぬ相違点 | |
二日間の取材。ロケ隊は泊まり掛けでやってきたわけですけれど、まあ、その点に関しては無駄とは考えられません。睡眠時間は、僕よりも短かったかもしれません。 二日目は、前日に行われた取材で漏れた部分を補うために使われます。宿に戻った彼等は、ビデオを検証し、二日目に取材すべきものをリストアップしていたのですね。まあ、この手の世界では労働基準法など無力なものです。 取材が終わってから、放送まではかなりの日数がありました。この間、ディレクターは編集作業をしながら、取材で聞き漏らしたことや、ビデオを見て出てきた疑問も質問形式で送ってきます。 これの分量もそうとうなものでしたけれど、取材をお受けするまでの過程にも、取材中にも、細かな気配りを感じ続けた僕としては、気持ち良く、できるだけ密なお返事をさせていただきました。 このやり取りは、直接お会いすることのできない状況下では最大限に努力をしていたと思えます。が、やはり、ベターからはベストは生まれないのかもしれません。結果から言えば、あの放送、本当の情報とは明らかに異なる点がいくつかあったのです。 まあ、仕方がないと言えばそれまでですね。なにせ、放映されるテープを見ないことには、完全な擦り合わせは不可能ですから。 万が一、事前にテープを送られてきたとしても、それを見る手段は、僕の家にはありません。電子化してメール、という手もありますけれど、パソコン上で映像を再生するためのフォーマットは種類も多く、全ての環境で必ず見られると太鼓判を押せるものはありません。だいいち、わざわざそんなことをする時間的余裕はなかったでしょう。 放送用のテープが完成したのは、当日の夕方近くだそうですから。 新聞や雑誌の原稿であれば、いま、ほとんどの編集作業はパソコンで行われています。テキストデータはメールやファックスで簡単に送ることができますから、雑誌社の中には、取材をもとに書いた原稿を事前に確認させてくれるところもあります。 いやあ、これもわりと相違点がばしばしあるのです。明らかにこれは……という箇所は修正をお願いすることもありますけれど、数え上げればきりがないのです。まあ、取材をお受けした段階ですでにあきらめておりますから、多少のことは、そのままスルーしてしまいます。 実際に掲載される原稿を事前に読むことができたとしても、そんな状況です。一見、ありのままをごっそり撮っていくテレビカメラの情報であっても、そこには、作られてしまった事実があるってのは、仕方のないことなのでしょう。 そしてそれは、雑誌や新聞を遥かに超える影響力を持つわけです。 |
◆「ものしり一夜づけ」ツアー | |||
さて、僕の家にはテレビがありませんから、自分自身が映し出される映像は視聴できない……と思っておりましたけれど、当日、知人の家に招かれまして、酒を飲みながら楽しませてもらいました。 後日、友人からは放送をパソコンに取り込んだものが送られてきましたから、こうして、実際の映像を切り取り、使わせていただくこともできました。 まあ、厳密に言えば、いくら自分が出た番組であっても、勝手に使うのはまずいんです。僕の出た番組は、僕の著作物ではないのです。 けれど、そこはこっそりと。 もし、これを御覧になって「けしからん」とお考えの関係者様がいらっしゃいましたら、もう、平身低頭で即刻削除いたしますので、訴える前にご連絡をお願いします。
っていうか、「これはおかしいのでは……」と感じた方は、ほとんどいらっしゃらなかったのかもしれません。 なにせ、テレビですから。 |
◆しかしまあ、よい経験でした | ||
このままだと文句じみた話で終わってしまいそうですけれど、上記の二点を加味しても、本人としては十分に楽しめるものでした。 僕にとって絶後となるテレビへの露出として、記憶にとどめておくだけの価値はあったと考えています。これはなにも、ディレクターが美人だったからとかいう不埒な理由では決してありません。 なにしろ、最後のテロップが粋です。 NHKの御墨付きです、当協議会も。 なんていうのも冗談として、少なくとも“つくりたいもの”を心に秘めた方が絶滅しない限りは、テレビジョンが馬鹿の遊び場ではなく、再び意味のあるメディアへと返り咲く可能性もあるかなあと、ちらっと思えました。 それでも、テレビジョン番組をきちんとつくりあげるには、まだまだ、艱難辛苦を乗り越えていかなければならないだろうなあとも思えます。 テレビに出たことで、僕の生活にも少なからず影響は出てしまいました。電気代を払いにいくコンビニで声をかけられたりするのは微笑ましい部分ですが、ここには書けない、とんでもなく迷惑な悪影響もありまして、やりにくいったらありゃしません。 メールなどで寄せられた感想も、どのメディアにも負けないだけの量でした。あの放送を通じて知ったという方も多くいらっしゃいましたから、おそらく、ほかのどのメディアの取材よりも大きな影響力を持っていたとは容易に推測できます。 テレビの放送として流れた相違点は、テレビだけを見た人にとっては真実となり、僕にそれを訂正する手段はありません。視聴率〇・一%だったとしても、国営放送は全国津々浦々で受信できることを考えれば、全国民中での数値。当サイトの全アクセス数をもっても太刀打ちできない人数になりそうです。 こうなると、一発の銃弾よりも強力です。都知事でもなければテレビの嘘を覆すなんてのは不可能なわけです。流れちゃったら最後、やっぱりテレビならではの巨大さを感じますね。 最後に、放送後、僕のもとに届いたとある読者の方からのメールを、こっそり掲載して終わらせていただきます。
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記憶その14 1月の貰い物
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今月も、ほんとうにたくさんの頂き物をありがとうございました。
読者のA様からは、ビールとお菓子を貰いました。甘いものもアルコールも、燃料としては最適です。ありがとうございました。 こんなとほほな当協議会への入会方法をお尋ねくださったM様からは、ウイスキーと泡盛を頂戴しました。だるま、久しぶりに呑むとなんとも懐かしい味わいです。トリスよりも遥かに旨いですね。 ちなみに、当協議会への入会は、だれでも、もちろんなにを送ることもなくすんなりできます。詳しくは、あまり詳しくない全日本貧乏協議会とはをご覧ください。 読者のI様からは、チョコレート、泡盛、衣類、無農薬の自家製七草、そしてなんと、なんとびっくり、三脚を頂いてしまいました。旧暦の七草、美味しく頂きました。三脚も、さっそく大活躍です。 最近、写真のお仕事も少しだけ入りまして、これからも、三脚はあちらこちらへと思い出の傷を増やしながらカメラと僕を支えてくれることと思います。 皆様、本当にありがとうございました。 |
ビールとお菓子
A様より
酒
M様より
チョコレートと酒、七草
I様より
衣類
I様より
三脚
I様より
七草粥、旨いっすね、やっぱり
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旨い茶漬けの食し方
料理とは違うのですが、本日の昼ご飯として、御茶漬けを食べました。
で、食べる30分前に暖房を消しまして食べる時の室内温度は11度でした。その状態でただの御茶漬けを食べたところ本当に御茶漬けが熱くおいしかったです! 暖房を消すだけでこんなにも料理の温度が引き立つということにやっと出会えて感動してしまいました。 吉之助
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みそ卵そぼろ
普通の加熱調理では安全性が怪しいなーと危ぶまれる古卵を利用するか、1パック100円の特売卵で作り置きします。
*うんと水分を飛ばして固く作ると、室温でも冬なら2週間は保ちます。茶碗に入れて上から熱いご飯をよそい、1分待ってかきまぜれば美味なそぼろ飯! カナン
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料理店の「お値打ちコース」でグルメるヒトビト
*ホテルや有名店の五千円以下「お値打ちコース」の大部分は、端材と手抜きでデッチアゲたしろものですよ。ほんとうに良い材料で手間と技術をこらした料理は、それなりの高価にならざるを得ないんだから。例外は、店の建物も土地も主人のもので主人自身が極上の料理人である場合だが、そんな店は万にひとつ存在するかどうかだね。
*デッチアゲお値打ちコースを有り難がるヒトビトとは、家でまともにダシとった味噌汁も作らず当たり前の家庭料理の技術もなく、スーパーの総菜程度しか喰ったことがないため味ってものを知らない、ビンボたらしい一群です。 カナン
ブランドファッション
*親族が、高価格で知られた某有名アパレルメーカーに勤務しています。製品価格には製造原価の他に営業・輸送・宣伝などの費用が含まれており、ここまでは当然として、シーズンに売れ残る割合を半数+αと推計し、価格に織り込むんだそうな。つまりブランドのファンは、倍のカネ出して売れ残りまで買いあさってるってコトだね。
*この会社の10万円のコートの製造原価は2万円以下です。無名の良心的メーカーなら、4万円の商品でも原価はこれくらいだ。生地の知識もなく縫製の良否を見分ける眼もないヒトビトが「やっぱり高いものは出来が違う」なんて、ビンボたらしいタワゴトをタレんなよっ。 *このメーカーは売れ残りのバーゲンセールをしません。シーズン過ぎの商品は社内でだけ販売、それでも残るとブランドイメージと高価格を守るため焼却処分する。その処分費用も灰も値段に含まれた服を、作る会社に買うニンゲン。地球と人類をコケにして恬然としてる、その鈍感なツラの皮と貧弱な頭脳は、ビンボったらしいなあ! カナン
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《肉貧の唄》 手持の金が少なくなって、赤い肉が買えなくなった 赤い肉は牛肉、地の滴るような鉄分 手持の金が僅かになって、ピンク色の肉は買えなくなった ピンクの肉は豚肉、豚ミンパワー 手持の金が尽きて、鶏モモも買えなくなった どうして特売は、淡白なささみとムネだけなの 血の気の失せた肉で 貧乏の行き着く先は貧血 たんぱくですむなら 肉はいらない豆腐で済むのよ フライパン舐めてもおさまらない 釘しゃぶってもおさまらない 貧乏の行き着く先は貧血 よち
いつの間に孫が出来ていたのかと思う程の演技力で掛かってきた電話。 俺・俺ならぬ、僕・僕詐欺。小銭もないのに幾ら振り込めと言うのだ。 「私に孫は居ませんよっ!!」 一言だけ叫び、受話器を置かせていただきました。 ようかん
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貧乏談話室に書き込みいただいたお話の中から、いくつかを選んで会長がお返事いたします。
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関西に住む貧乏学生です。大体毎日見ていますが、うかつにもここ(談話室)の存在に今まで気づきませんでした。 僕はモノを捨てるのが苦手で家が散らかりすぎていていやになります。しかし、進学がうまくいけば間もなく別の地方に引っ越すことになり、大幅にモノを捨て、シンプルな貧乏ライフを実現できるのではないかと思っています。ああ、楽しみだ。しかし会長のレベルまでの割り切りは僕に可能なのだろうか。 顛末はまた報告します。 ハヘロ
こんばんは。
貧乏談話室、開設は一月のはじめでしたから、かなり早い時期に気がついたことになりますね。 引っ越しは、人生をリセットする絶好のチャンスです。人生にリセットボタンはないなんて言いますけれど、コンピュータが言葉を破壊した典型かもしれません。 もちろん、ゼロに戻すなんてことは不可能なわけですが、リ・セットなんてのはいくらでもできるのです。 物の少なくなった部屋での快適な暮し、ご報告をお待ちしています。 会長
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日記、毎日楽しみにしてます。北海道あたりまえですが寒いです。雪の半年、これは長く、被服費もばかになりません。ハワイとかの人は、そういう意味では経済的ですよねぇ。火鉢の炭、まねき というのをすすめられて購入しまして、確かに火持ちがいいんですよ。でも調子にのって焚きすぎてしまいました。 川上さま、おかしな質問ですみません、洗濯について日記などに書いていただきたいのですが。衣類を少なくしたのは自分としては良かったのですが、今度は洗濯の回数が増え、水道料金が高くなりました。水道料金って、地域差が大きいですね。北はやはり高いです。 bukun
まねき、おが屑を固めた炭なのですね。ざっと調べたところ、ちょっと高いけれど、室内で使うには良さそうな炭のようで。
洗濯は風呂場でちゃちゃっとやれば水量は少なくできるのですけれど、住まいや地域の環境によっていろいろと違いがあるやもしれません。北海道ともなりますと、冬の衣服は大変なことになるでしょうし……。 現代人は、洗剤を使いすぎる傾向にあります。パンツなんて、ちょこっと石鹸をつけてこすれば十分だし、洗剤なり石鹸が少なければ濯ぎもちょっとの水で済みます。もこもこした衣類はどうしても洗濯機に頼るとしても、セーターなど肌着を隔てて着るものなら、一晩陰干しするだけでも臭いは消えます。 会長
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今朝、我が家のこたつがポンという軽い音と共に白煙を上げて倒れました。 昨年の電気オーブンに継ぐ家電の反乱劇。 この調子だと今年中には川上会長の生活に近づけそうです(泣 ようかん
ヒューズが飛んだのなら、割と簡単に直せますよ。
taka
・・そうですね、諦めるのが早すぎました。 電気オーブンは20年間使用しましたが、コタツはまだ12年目、もう少し大切に使います。 お返事、ありがとうございました。 ようかん
見てみないことにはわかりませんが、怪しいのは電源コードでしょうか。なにしろ消耗品ですから。
なにがヒューズを飛ばしたのか、その原因がわかれば、修理は可能です……けれど、実は電気カーペットを入手されたそうで。 電気カーペット+こたつの亡骸でも、十分に暖かですね。 会長
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近所のスーパーでは、安売りの目玉にプレーンヨーグルトの500CCパックが150円で売られます。私はこれでクリームチーズを作ります。技術も道具も要りません。
1・ヨーグルトは甘みやゼラチンを入れたのはダメ、プレーンで! 2・清潔な木綿布(日本手拭いとかハンカチ)にヨーグルトを全部あけ、中空に吊るす。したたり落ちる液はミネラル等の豊富な栄養物なので、容器に受けておいて飲む。 3・半日ほっとくと、水分の抜けた中身はクリームチーズになります。固さは好みに合わせてテキトーに時間調整。 4・塩、胡椒、スープの素少量を加え、軽く練れば完成。すぐ食べられますが、翌日まで寝かせたほうが美味です。 *パセリや三つ葉をみじん切りして混ぜてもうまいし、何故か沢庵などの漬け物を刻んで入れても合います。 *さらなるバージョンアップは、固く作って1cm角のサイコロに切り、胡椒をたくさん入れたオイルに数日つけこむ。(てんぷら油で充分だが、新しい油を使う。ウチでは住居前の地面に植えた香草の乾したヤツも入れる)ワイン通を自慢する客にこれを供したら、どこで買ったかと執拗に問われました。 カナン
その方法の応用で、カッテージチーズもできますよ。お試し下さい。
牛乳を温め、レモン汁を少々入れると、分離します。 (500ccに小さじ2杯位が目安) これを冷まし、同様、木綿布などにあけ、吊しておけば完成です。 後はお好みで味を調えて下さい。 火を通してしまうので、ちょっと古くなった牛乳等でも大丈夫ではないかと思います。 まる
ヨーグルト吊るしは、聞いたことはあっても試したことがないんですよね。僕の場合、まるさんの方法で、レモン汁ではなく酢を使って楽しんでます。
確かに、古くなった牛乳でも問題なしでございました。加熱万歳。 会長
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先日の会長の日記にも出てた足尾銅山で長年暮らしていた老人の言葉って、妙に現代人の率直な考えを述べているような気がして、すこし考えてみました。(ほんの少しだけf^_^;) 元々は相手から求めるものを自分が得る為に、相手が求めるものを提供する事で成り立っていた価値交換が、お金と言うシステムのおかげで「自分の持つ何かを欲する人がいるから働く」と言うのでなく「お金の為に働く」と言う考えと、「自分に価値をもたらしてくれる人に何を返せばいいのか」でなく「お金を払えば自分の望む物は手に入る」と言う考えが確立されたようです。 その結果、自分が働く事で誰がどのように恩恵を受けているのかが見えなくなったり、自分が誰の恩恵を受けているかと言う意識が希薄になってきている気がします。 taka
こういう言い方は変かもしれませんけれど、“面白い”事件でした。
東京オリンピックも知らず、自力に頼り、孤独に生きてきた人。小貝川で釣りを通じて仲間をつくると同時に、お金のことを知る。物心ついたころから“お小遣い”としてのお金を使ってきた僕なんかは、頭の中で必死に考えなければお金の便利さを表現できないのに、彼の人生は、短い言葉でそれを語りきってしまいました。 生き方というバックボーンがなければ、いくら言葉を重ねても無意味なんだなあと。 僕自身がどこまでやれるか、俄然、やる気にさせてくれる出来事でした。 会長
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以上、1月分のお話からいくつかお返事をさせていただきました。すべてにお返事を差し上げたいところですが、体力には限りもございますので何卒ご勘弁を。 皆様からのお便り、貧乏談話室にてお待ちしております。 |
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編集後記
新しい一年、いかがお過ごしでしょうか。
そんなわけで、久しぶりにまとも(?)な号をお届けすることができました。発刊日はまともではありませんけれど、お暇なときにちょこちょこと読み進めていただければ幸いです。 1月号の発刊をきっかけに、当サイトも大幅にリニューアル。見た目はそれほど変わっておりませんけれど、編集作業は格段にやりやすくなりました。これからは、なんとか毎月、簡単な内容でもないよりはましという気持ちでやっていくような気がしておるようです。 次号はどうなるかわかりませんけれど、今年もご愛顧くださいますようよろしくお願い申しあげます。 会長
● 次号のお知らせ
耐乏PressJapan. 2004年2月号 (2004年2月発刊予定)
■特集:新・大切なお肉の長期保存(後編)
■連載記事:言葉の雑木苗(3)、他
■投稿記事:皆様からの投稿をお待ちしております
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耐乏Press Japan. 2004年1月号
発行:全日本貧乏協議会(taku3@jh.net) 発行部数:48845
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