ソウル(CNN) 韓国で「第2次朝鮮戦争はあり得るか」と質問したら、数カ月前までならほとんど一笑に付されていただろう。
過去数十年の間、北朝鮮のミサイル発射や核実験、海軍艦艇の衝突などが相次ぐ中、韓国の人たちは余計なことは考えずに普段通りの生活を営む術を身につけてきた。
特に戦争を知らない若い世代にとって、北朝鮮は敵というよりは、うるさい兄弟のような存在になっていた。
しかし11月23日、北朝鮮が韓国延坪島(ヨンピョンド)を砲撃し、4人が死亡した事件で状況は一変する。
防犯カメラのとらえた住民が逃げ惑う映像に韓国人は衝撃を受け、北朝鮮が依然として近隣に存在する大きな脅威であることを思い知らされた。
韓国軍が20日に延坪島沖で実施した射撃訓練で国内の緊張は高まり、延坪島の住民は島から避難したり防空壕に身を寄せたりした。衝突がエスカレートして収集のつかない事態に発展するのではないかとの不安も高まっている。
訓練は必要かもしれないが、このタイミングでの実施は新たな攻撃を招く恐れがあると住民は言う。避難のためフェリーに乗り込んだ84歳の女性は「もちろん、やらないで済むならその方がいい」と話した。訓練は20日で終了したが、住民はかたずをのんで北朝鮮の出方を見守っている。
戦争になる可能性がないと言い切る人はほとんどいない。
延坪島の砲撃により住民は、もし韓国が北朝鮮に攻撃されたらどうすればいいのか想像もつかないという現実を突きつけられた。
これまでほとんど気にかけることのなかった演習に対する市民の反応にも変化が現れた。この日はソウルでも、空爆を想定して一般市民が地下鉄の駅やオフィスビルの低層階に避難した。
地下鉄の駅に避難した大学生は「北朝鮮と韓国の間には何も起きなかったので、実際に参加できたとは言えない。しかし最近、実際にそれが起きた。そうした場合のことを考えるのは、われわれにとってとても重要だ」と話した。
若い世代にとってこれまでは、北と南の指導者が平壌で握手する光景を思い描くことは、戦時の話を聞かされることよりも現実的だった。
しかし一連の事態の中で、それも変わってしまったかもしれない。