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洪浩然の書、400年ぶり韓国へ「里帰り」

◆国際交流展で紹介、陶祖?李参平らの資料も

 

 豊臣秀吉が朝鮮半島に兵を出した文禄・慶長の役(韓国名は壬辰倭乱(イムジンウェラン)・丁酉再乱(チョンユチェラン)、1592~98年)で、日本の捕虜となった人物にスポットを当てる国際交流展が30日から、韓国の国立晋州博物館で開かれる。佐賀藩で活躍した能書家・洪浩然(こうこうぜん)や有田焼の陶祖・李参平(りさんぺい)らの関連資料を紹介。洪家からは開会式に子孫も出席し、韓国に住む兄弟の子孫と“再会”。帰郷がかなわなかった浩然の思いが、遺した書や子孫を通じて、約400年ぶりに故郷の土を踏む。

 

 国際交流展は「壬辰倭乱と被虜人」。国立晋州博物館(慶尚南道晋州市)が佐賀県立名護屋城博物館(唐津市鎮西町)との国際学術交流協定を記念して企画。壬辰倭乱が日韓の文化に与えた影響や捕虜となった人の日本での暮らしなどを検証する。展示資料約100点のうち佐賀県内の資料が80点を占める。

 

 「芸術に昇華された被虜人の夢」と題する展示では、鍋島直茂軍に捕らえられ、佐賀藩初代藩主勝茂の藩主書記係として活躍した洪浩然に光が当てられている。76歳で追腹を切る直前に書いた訓戒の書「忍」など同館から関連資料34点を提供する。

 

 「文化の伝播と交流」では、県立九州陶磁文化館(西松浦郡有田町)や有田町歴史民俗資料館などが、日本に磁器生産の技術を伝えた李参平に関する資料や、陶片、窯道具などを貸し出す。

 

 浩然は晩年、帰国のために唐津藩との境まで来たが、勝茂に呼び戻され断念した経緯もある。30日の開会式には洪家の子孫11人も出席し、韓国に住む浩然の兄弟の子孫と面会。捕らえられた場所とされる山清郡も訪問することになっている。

 

 韓国で被虜人にスポットを当てた展覧会は初めてで、名護屋城博物館は「400年余りの時を経て、浩然を里帰りさせることになる。被虜人の生きた証しを、韓国で伝える歴史的な意義は大きい」と話す。国際交流展は来年2月6日まで。

2010年11月26日更新
韓国に「里帰り」する洪浩然の書「忍」

韓国に「里帰り」する洪浩然の書「忍」

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