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発明の名称 高純度水素の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平9−278403
公開日 平成9年(1997)10月28日
出願番号 特願平8−113022
出願日 平成8年(1996)4月11日
代理人
発明者 小渕 彰 / 谷口 浩之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】炭化水素を水蒸気改質し、得られる水素含有ガスから高純度水素を製造する方法において、下記工程を設けてなることを特徴とする高純度水素の製造方法。
(イ)上記水素含有ガスをパラジウム系膜を用いた無機水素分離膜装置に供給し、透過側に高純度水素を得る高純度水素分離工程、(ロ)上記(イ)工程からの非透過側ガスを冷却したのち、有機高分子膜を用いた有機水素分離膜装置に供給し、透過側に濃縮水素を得る濃縮水素分離工程、(ハ)上記(ロ)工程から得られた濃縮水素をガス圧縮循環装置で加圧して高純度水素分離工程の前段に循環供給する濃縮水素循環工程、【請求項2】炭化水素を水蒸気改質し、得られる水素含有ガスから高純度水素を製造する方法において、下記工程を設けてなることを特徴とする高純度水素の製造方法。
(イ)上記水素含有ガスを変成触媒を充填した変成装置に供給し、水素含有ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素及び水素に転換するガス変成工程、(ロ)上記(イ)工程で変成された水素含有ガスをパラジウム系膜を用いた無機水素分離膜装置に供給し、透過側に高純度水素を得る高純度水素分離工程、(ハ)上記(ロ)工程からの非透過側ガスを冷却したのち、有機高分子膜を用いた有機水素分離膜装置に供給し、透過側に濃縮水素を得る濃縮水素分離工程、(ニ)上記(ハ)工程から得られた濃縮水素をガス圧縮循環装置で加圧して高純度水素分離工程の前段に循環供給する濃縮水素循環工程、【請求項3】ガス圧縮循環装置で加圧して循環供給する濃縮水素を高純度水素分離工程の直前と炭化水素の水素化脱硫用の水素として分割循環することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の高純度水素の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素を水蒸気改質し、得られる水素含有ガスから高純度水素を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、都市ガス、天然ガス,ナフサ,灯油又はメタノール等の炭化水素に水蒸気を添加して白金,ルテニウム又はニッケル等の元素をアルミナ等の担体に担持した改質触媒と高温下で接触させて水蒸気改質し、水素含有ガスを得る技術が実施されている。
【0003】尚、上記改質用触媒は硫黄分によって極めて被毒されやすく、上記ニッケル担持触媒にあっては、特に硫黄分の影響を受けやすく、被毒されて活性を失う恐れがあるため、通常は原料炭化水素中の硫黄分を脱硫処理しており、その脱硫方法としては、炭化水素に純水素又は水素含有ガスを添加し、高温・高圧下でコバルト−モリブデン、又はニッケル−モリブデン等を担持した触媒と接触させて水素化処理して硫黄分を硫化水素としたのち、酸化亜鉛や酸化ニッケル等の脱硫剤で脱硫する水素化脱硫方法が一般的に用いられている。
【0004】また、炭化水素を水蒸気改質して得られた水素含有ガスから水素を精製回収し、燃料電池用の水素源や半導体製造工業等で使用されており、その精製回収方法としては、溶液吸収法、吸着法又は深冷分離法などで不純物を分離除去する方法や有機又は無機の水素分離膜によって水素を拡散分離する膜分離方法などがあり、その中でも膜分離方法は、省エネルギー、分離効率、装置の簡易な構成及び運転の容易性などの観点から注目されている。
【0005】更に、上記膜分離方法に用いられる水素分離膜としては、ポリイミドやポリスルホンなどの有機高分子膜及び特開昭62−121616号、特開昭62−273030号などの公報に開示されている多孔質硝子、多孔質セラミックス、及び多孔質酸化アルミニウムなどの無機多孔質支持体の表面にパラジウム又はパラジウム合金膜を被着した無機膜などがある。
【0006】上記において、パラジウム系の無機水素分離膜の種類や水素含有ガス中の一酸化炭素濃度によっては、水素分離膜が一酸化炭素により被毒されるため、鉄−クロムや銅−亜鉛等の酸化物が用いられるた変成触媒と接触させて、一酸化炭素を二酸化炭素及び水素に転換したのち、パラジウム系の水素分離膜装置に供給する方法もある。
【0007】また、本願の出願人は特願平3−121794号で、炭化水素を水蒸気改質し、得られる水素含有ガスから無機水素分離膜を用いて高純度水素を製造し、硫黄分含有の炭化水素の水素化脱硫用の水素として用いる炭化水素の脱硫改質方法を提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の炭化水素を水蒸気改質して得られる水素含有ガスから水素を精製し高純度水素を製造する方法にあって、本願の出願人が提案した上記炭化水素の脱硫改質方法で使用されている技術は、高純度水素を水素化脱硫に用いることにより、炭化水素の水素化脱硫の効率化を図った方法であるため、高純度水素を効率良く、且つ高い收率で製造するには技術的に不十分である。
【0009】また、水素分離膜において、有機高分子膜は、耐熱性や高温時での分離効率低下及び回収水素の純度が低いなどの問題あり、また無機水素分離膜においては、耐熱性もあり、極めて高純度の水素を得ることができ、より高集積化した半導体工業での半導体の製造に用いるための高純度水素を得ることができるが、低温での分離効率が低いことや、水素脆化が生じ、またその製造方法における気相化学反応法、真空蒸着法又は化学メッキ法などは、いずれも非常に手数がかかり、また高度な製膜技術を必要とするため価格が高い欠点がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の炭化水素を水蒸気改質し、得られる水素含有ガスから高純度水素を製造する方法の問題点に鑑みてなされたものであり、高純度水素を低廉に、効率良く高い収率で製造できる製造方法を提供する目的で成されたものであり、その要旨とするところは、水素含有ガスをパラジウム系膜を用いた無機水素分離膜装置に供給し、透過側に高純度水素を得る高純度水素分離工程、高純度水素分離工程からの非透過側ガスを冷却したのち、有機高分子膜を用いた有機水素分離膜装置に供給し、透過側に濃縮水素を得る濃縮水素分離工程、濃縮水素分離工程から得られた濃縮水素をガス圧縮循環装置で加圧して高純度水素分離工程の前段に循環供給する濃縮水素循環工程を設けてなることを特徴とする高純度水素の製造方法である。
【0011】また、水素含有ガスを変成触媒を充填した変成装置に供給し、水素含有ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素及び水素に転換するガス変成工程、ガス変成工程で変成された水素含有ガスをパラジウム系膜を用いた無機水素分離膜装置に供給し、透過側に高純度水素を得る高純度水素分離工程、高純度水素分離工程からの非透過側ガスを冷却したのち、有機高分子膜を用いた有機水素分離膜装置に供給し、透過側に濃縮水素を得る濃縮水素分離工程、濃縮水素分離工程から得られた濃縮水素をガス圧縮循環装置で加圧して高純度水素分離工程の前段に循環供給する濃縮水素循環工程を設けてなることを特徴とする高純度水素の製造方法である。
【0012】更に、上記ガス圧縮循環装置で加圧して循環供給する濃縮水素を高純度水素分離工程の直前と炭化水素の水素化脱硫用の水素として分割循環することを特徴とする高純度水素の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態の高純度水素の製造方法の系統図であり、図2は他の実施の形態の系統図である。
【0014】1は水素含有ガスを添加し、原料炭化水素中の硫黄分を水素化脱硫する水素化脱硫装置の水素化脱硫工程であり、前段に水素化触媒が充填され、硫黄分を硫化水素及び水素に転換する水素化部と後段に生成硫化水素を除去する脱硫剤が充填された脱硫部とに区分して一体的に設けられている。
【0015】上記水素化脱硫工程1で使用される水素化触媒としては、コバルト−モリブデン,ニッケル−モリブデン等の酸化物或いは硫化物をシリカやアルミナ等の担体に担持したものが適宜用いられるが、低圧下ではニッケル−モリブデン触媒が好ましい。また脱硫剤としては、酸化亜鉛や酸化ニッケル等が単独或いは適宜担体に担持して用いられる。
【0016】2は上記脱硫炭化水素に水蒸気を添加し、水素含有ガスに改質する水蒸気改質装置の水蒸気改質工程であり、炉に内設された反応管内に白金、ルテニウム又はニッケル等の元素をアルミナ、シリカ等の担体に担持した改質触媒が充填されている。尚、改質触媒の工業的使用にはニッケルを担持したニッケル触媒が廉価であるため多く使用されている。
【0017】3は水素含有ガスから水素の一部を透過側に高純度水素として分離する、パラジウム系の膜を多孔体に被覆した分離膜が用いられた無機水素分離膜装置の高純度水素分離工程であり、上記パラジウム系の膜としては、パラジウム単独膜、パラジウムと銀又はニッケル、コバルト及びバナジウムなどの金属との合金膜や合金膜とパラジウム膜とを積層した積層膜等が用いられ、また多孔体としてはセラミック,ガラスまたは金属等の耐熱性多孔体が用いられる。
【0018】4は高純度水素分離工程3からの非透過側ガスを冷却したのち、透過側に濃縮水素を得る有機高分子膜を用いた有機水素分離膜装置の濃縮水素分離工程であり、有機高分子膜としては、ポリイミドやポリスルホンなどの膜が用いられる。
【0019】5は水素含有ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素及び水素に転換する変成触媒が充填された変成装置のガス変成工程であり、変成触媒としては、鉄−クロムや銅−亜鉛等の酸化物が用いられる。
【0020】尚、上記構成において、原料炭化水素が硫黄分を含有しない、又は許容できる量の硫黄分しか含有しない場合には、水素化脱硫工程1は不要であり、また水素含有ガス12中の一酸化炭素の濃度などによっては、ガス変成工程5も不要とすることができる。
【0021】6は濃縮水素分離工程4で得られた濃縮水素を加圧し、高純度水素分離工程3の前段に循環するガス圧縮循環装置の濃縮水素循環工程であり、濃縮水素を循環する位置は高純度水素分離工程3の前段であれば適宜に設定されてもよいが、高純度水素分離工程3の直前への循環と水素化脱硫用の水素としての循環に分割するのが好ましい。
【0022】7a〜7fは夫々の装置で処理されたガスを加熱又は冷却する熱交換器であり、8はガスの冷却により凝縮した水分を分離する水分分離器である。また10〜16は夫々のガスの流路であり、10は原料炭化水素、11は脱硫炭化水素、12は水素含有ガス、13は高純度水素分離工程3の非透過側ガス、14は高純度水素分離工程3の透過側ガスである高純度水素、15は濃縮水素分離工程4の非透過側ガス、16は濃縮水素分離工程4の透過側ガスである循環濃縮水素であり、また12aは変成した水素含有ガス、16aは水素化脱硫用に循環する濃縮水素、16bは高純度水素分離工程3の直前に循環する濃縮水素、17は水蒸気改質用の水蒸気である。
【0023】上記構成の高純度水素の製造工程で硫黄分含有の炭化水素を脱硫改質し高純度水素を製造する方法について以下詳述する。原料炭化水素10に濃縮水素分離膜工程4から循環された濃縮水素16aを水素/原料0.05〜0.5Nm3-H2/kgの比率で添加し、温度を200〜450℃、好ましくは、250〜350℃、圧力を常圧〜10kg/cm2G 未満として水素化脱硫工程1に供給する。
【0024】上記水素化脱硫工程1へ供給された原料炭化水素10と濃縮水素16aとの混合物は水素化触媒と接触して原料炭化水素10中の硫黄分が硫化水素に変換され、更に脱硫剤と接触することにより硫化水素が固定化され脱硫が成される。
【0025】脱硫炭化水素11は熱交換器7aで加熱して、水蒸気17を水蒸気/原料2.0〜6.0kg-mol-H2O/kg-mol-C 好ましくは3.0〜4.5kg-mol-H2O/kg-mol-C で添加し、更に熱交換器7bで温度400〜500℃に加熱し、圧力を常圧〜10kg/cm2G未満で水蒸気改質工程2に供給される。当該工程2へ供給された脱硫炭化水素11と水蒸気17との混合物は改質触媒と接触して水素含有ガス12に改質する。
【0026】尚、水素含有ガス12中の一酸化炭素濃度が低い場合には、図1に示す工程が用いられるが、一酸化炭素濃度が高い場合には、より水素濃度を高くするためやパラジウム膜が一酸化炭素により被毒されるのを防止するためなどから、図2に示す工程を用いるのが好ましい。
【0027】図1に示す工程において水素含有ガス12は、熱交換器7cで温度400〜600℃に調節し、圧力5〜10kg/cm2G 未満で高純度水素分離工程3へ供給され、含有する水素の一部がパラジウム系膜を透過して高純度水素分離工程3の無機水素分離膜装置の透過側に純度99.99vol %以上の高純度水素14として回収され、非透過側の非透過側ガス13は、熱交換器7d、7eで温度40〜60℃に冷却され、凝縮された水分を水分分離器8で分離し、濃縮水素分離工程4に供給される。
【0028】上記工程4へ供給された非透過側ガス13は、含有する水素の一部が有機高分子膜を透過して濃縮水素分離膜工程4の有機水素分離膜装置の透過側に純度90〜95vol %の濃縮水素16として回収され、また非透過側の非透過側ガス15は、水蒸気改質工程2の改質炉の燃料などに用いられ、透過側の濃縮水素16は濃縮水素循環工程6のガス圧縮循環装置で加圧され、高純度水素分離工程3の直前への循環濃縮水素16bと水素化脱硫用の濃縮水素16aとしての循環に分割して循環される。
【0029】図2に示す工程においては、水蒸気改質工程2で改質された水素含有ガス12は、熱交換器7cで所定の温度に調節してガス変成工程5に供給され、水素含有ガス12中の一酸化炭素を二酸化炭素及び水素に転換し、変成された水素含有ガス12bは熱交換器7fで所定の温度に調節して高純度水素分離工程3へ供給し、以下図1の方法と同様に処理される。
【0030】
【実施例】脱硫した都市ガスを水蒸気改質し、得られる水素含有ガスから高純度水素を製造した実施例と比較例とについて以下述べる。テスト方法は、都市ガスを水蒸気改質して得られた水素含有ガスに対する高純度水素分離工程での高純度水素回収率を75%とするに必要なパラジウム系の管状無機水素分離膜の必要本数及び循環ガス量を、濃縮水素分離工程及びガス変成工程を設けず、高純度水素分離工程の非透過側ガスを循環する製造方法を比較例とし、この比較例の値を1とした比で比較した。
【0031】図1に示した高純度水素の製造工程を使用した実施例では、必要な無機水素分離膜の必要本数は0.64、濃縮水素の循環量は0.37、図2に示した高純度水素の製造工程を使用した実施例では、必要な無機水素分離膜の必要本数は0.59、濃縮水素の循環量は0.46であった。
【0032】上記の結果から、本発明の高純度水素の製造方法では、製造するのに非常に手数がかかり、また高度な製膜技術を必要とし、そのため、価格が高いパラジウム系の無機水素分離膜の必要本数、即ち膜面積を少なくすることができ、また循環ガス量も少なくてよいため、ガス圧縮循環工程の動力費も低廉となる。従って、低廉且つ効率的に高純度水素を製造できることが判明した。
【0033】
【発明の効果】本発明の高純度水素の製造方法は、より高集積化した半導体工業での半導体の製造に用いることのできる高純度水素を低廉に、効率良く高い回収率で製造できる。


 
 


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