射撃訓練:北の沈黙、「板門店ポプラ事件」と類似!?

爆撃機動員し目前で作戦

 延坪島の海兵隊による砲撃訓練は20日、始終「一触即発」の緊張感が漂う中で行われた。軍の内外では、「極限まで高まった緊張と実戦に備えた戦闘配備、韓米連合戦力の堅固な同盟への意志などが、34年前の『板門店ポプラ事件』とその後の『ポール・バニアン作戦』の時によく似ている」という話が出ている。強硬な対応姿勢が北朝鮮のさらなる挑発を防ぐという「ポプラ・モデル」が今回も当てはまるのではないか、と言われている。

 「ポール・バニアン作戦」とは、1976年8月21日午前7時、韓米連合軍約160人は板門店の共同警備区域(JSA)国連軍側第3監視所前にある大きなポプラの木を切り倒した時の作戦だ。その場所では三日前の18日、韓国軍の作業員がポプラの枝の剪定(せんてい)作業をする際、これを護衛していた米軍将校2人が、北朝鮮兵士約30人が振り回したおのなどで無残に殺害されるという「ポプラ事件」が起きていた。ポプラの木は北朝鮮側が植えたものだったが、成長しすぎて国連軍監視所の視界を遮っていたため、韓米連合軍が剪定作業を実行したことから起きた事件だった。

 「ポール・バニアン作戦」は45分間行われた。その間、上空には米国本土から急きょ派遣されたF-111戦闘爆撃機、B-52戦略爆撃機、韓米空軍のF-4戦闘爆撃機、AH-1コブラ攻撃ヘリコプター、UH-1H機動ヘリコプター36機が万一の事態に備え展開した。韓国軍第1師団地域では全兵士に実弾が支給され、105ミリけん引砲などの砲身は北側も向けられ、いつでも発射できる状態になっていた。だが北朝鮮軍はこの時、兵士約200人が偵察活動を行っただけで、韓米連合軍の気迫に押され、何も対応できなかった。

 今回の延坪島海上砲撃訓練でも、北朝鮮軍の挑発を抑える中核的な戦力が総動員された。大邱と瑞山から発進したF-15KおよびKF-16戦闘機が上空を飛び、イージス艦「世宗大王」や韓国型駆逐艦(KDX-II)も配備された。米軍側はKH-12偵察衛星やU-2偵察機により北朝鮮側地域を綿密に監視し、リアルタイムで情報を韓国側に伝えた。延坪島では米軍通信兵が特殊装備を動員、北朝鮮軍の衛星利用測位システム(GPS)かく乱に備えた。北朝鮮軍はこの日、特異な動向を見せなかった。

張一鉉(チャン・イルヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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