射撃訓練:あえて平常通りの行動を取った李大統領

「主権国家として当然のことに、誰も介入できない」

「最高の安全保障は、国民の団結によって実現」

 李明博(イ・ミョンバク)大統領は20日、延坪島周辺での射撃訓練が終わった後、「軍事的に対峙(たいじ)している分断国家で、領土防衛のために軍事訓練を行うのは、主権国家として当然のことであり、誰も介入できない」と述べた。

 大統領府の洪相杓(ホン・サンピョ)広報担当首席秘書官によると、李大統領は、大統領府本館の執務室で訓練の結果について報告を受け、「訓練が終わった後も、北朝鮮の挑発に備え、万全の態勢で対応していってほしい」とした上で、冒頭のように述べたという。

 大統領府はこの日、できる限り普段と変わらない様子を外部に示そうと努めた。午前8時、法務部(省に相当)が来年度の業務報告を行った後、行政安全部や法制処(日本の内閣法制局に相当)も業務報告を予定通り行った。行政安全部の業務報告は午前中に終わった一方、法制処の業務報告は午後4時に予定されていたため、李大統領は訓練が行われた午後2時30分から1時間の間、スケジュールが空いていたが、地下室の「危機管理センター」に移動することはなく、本館の執務室で訓練の状況について報告を受けたという。洪秘書官は、「訓練が始まる前には、危機管理センターで報告を受けたが、訓練終了の報告は本館で聞いた」と語った。

 李大統領と大統領府はこの日、延坪島周辺での射撃訓練により緊張が高まり、国内外から関心が集まったことを認識しながらも、あえて平常通りの行動を取った。ある幹部は、「韓国の領土で、韓国軍がいつも行ってきた訓練を行うというのに、特別な行動を取る理由はない。大統領府がいつもと違う行動を取っているように思われるのは、適切なことではなく、望ましいことでもない、と判断した」と語った。

 一方、李大統領はこの日、業務報告を受けた際、安全保障に関する指示を何回も下した。

 午前中の業務が始まる際には、金滉植(キム・ファンシク)首相に対し、「すべての公務員と政府関係者は緊張を緩めず、非常時の勤務態勢を維持するように」と指示した。また、法務部の業務報告の際には、「北朝鮮は韓国の国論が分裂したとき、韓国を見下した態度を取る。このようなときこそ、国民が一つにまとまることが重要だ。安全保障の確立は、強固な国防力だけでなく、一つにまとまった国民の力によって実現する」と述べた。

 また、大統領府の金姫廷(キム・ヒジョン)報道官によると、李大統領は「安全保障や生活安全に関しては、当面の問題を解決することも重要だが、根本的な対策を講じるべきであり、根本的な解決は、教育を通じて成し遂げるべきだ」として、児童・生徒や教師はもとより、検察や警察など、安全保障や生活安全に関わる機関に対し、特別な教育を行う必要性を強調したという。このほか、検察に対しては、「大韓民国は地球上で唯一の分断国家だ。分断国家で国のアイデンティティーを守り、経済を発展させていくためには、特別な取り組みが必要だ」と述べた。これは検察に対し、防ちょうや公安に関する活動の重要性を指摘したものと考えられる。

権大烈(クォン・デヨル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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