射撃訓練:株式への影響限定的、開城工団には大打撃(下)

開城工業団地、工場稼働できず

 北朝鮮の開城工業団地に進出している衣料メーカーA社の部長(43)は20日、京畿道坡州市の統一大橋に車で向かった。部長は開城工業団地で週末に当直勤務した職員と交代するため、北朝鮮入りする予定だった。しかし、19日夜、統一部から「訪朝不可」という携帯メールを受け取った。部長は「もしやと思い来てみたが、結局行けなかった」と語った。

 20日に開城工業団地に入ると統一部に届け出たのは614人。しかし、延坪島の射撃訓練で統一部は関係者の訪朝を全面的に規制した。統一部はひとまず20日のみ規制するとしたが、北朝鮮との対立で規制が長期化する可能性が高い。

 20日の越境規制で開城工業団地は直撃を受けた。週末の開城工業団地には当直勤務者297人(19日現在)がいたが、大半の常駐者は韓国側に戻っている状態で、工場を稼働させる人手が開城に残っていない状況となった。開城工業団地進出企業協会のペ・ハドン会長は「最小限の人員しか残っておらず、正常な稼働は不可能な状況だ」と説明した。

 11月に起きた延坪島砲撃事件以降、受注量が急減した一部業者は、工場の操業を中断した。縫製工場を運営する経営者(43)は「砲撃の際にも突然渡航と原材料搬入が禁止され、1週間にわたり工場を稼働できなかった。その際に取引先が注文を大挙してキャンセルし、新たな注文もなく、工場は遊休状態になっている」と話した。電子部品メーカーの関係者は「技術指導、生産管理、設備管理に最低3人の韓国側職員が必要だが、現在は1人だけ残留している状態だ。工場稼働率は通常の3分の1にも満たない」と説明した。

 延坪島砲撃以降、関係者の越境規制が2カ月以上続き、進出企業の間では開城工業団地の閉鎖可能性に対する懸念も徐々に高まっている。特に最近、政府周辺で開城工業団地の閉鎖は不可避だとする意見が出ており、そうした不安感に拍車をかけている。

 機械部品メーカー関係者は「米国が(進出企業の)撤収を主張すれば、韓国政府はどうすることもできないのではないか」と話した。

 繊維メーカーの社長は「公には開城工業団地の閉鎖に言及する人はいないが、私的な場では撤収準備を進めなければならないのではないかと話す人がおり、その数は少しずつ増えている」と語った。

 開城工業団地進出企業協会の会長団10日は20日、統一部を訪問し、速やかに越境が正常化されることを要請した。

チェ・ギュミン記者

李性勲(イ・ソンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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