射撃訓練:株式への影響限定的、開城工団には大打撃(上)
■株価は一時2000ポイント割れ
韓国軍が延坪島で射撃訓練を実施した20日、北朝鮮リスクで金融市場が動揺した。しかし、同日午後に射撃訓練が終了すると、不確実性が解消されたという見方が広がり、金融市場は引けにかけて安定を取り戻した。
延坪島での射撃訓練を控え、20日午前の金融市場は不安の中で取引を開始した。韓国総合株価指数(KOSPI指数)は午前中に前日比で一時30ポイント下落し、2000ポイントを割り込んだ。ウォンの対米ドル相場も前日比20ウォンのウォン安ドル高となった。午後2時半に韓国軍の射撃訓練が開始されたという情報が伝わると、KOSPI指数は一気に5ポイント下落する場面も見られたが、北朝鮮による反応が特になかったことから、投資心理は急速に回復した。
結局、KOSPI指数は前日比6.02ポイント(0.30%)安の2020.28ポイントで引けた。ウォン相場は前日比2,70ウォンのウォン高ドル安となる1ドル=1150.20ウォンで取引を終えた。債券金利は強含んで引けた。
最近北朝鮮による挑発が繰り返されるにつれ、金融市場は北朝鮮リスクに鈍感になりつつある。このため、北朝鮮関連の悪材料が出ても、株価の下落幅は縮小し、反発に要する時間も短くなってきている。こうした流れを主導しているのは外国人投資家だ。20日も外国人は1800億ウォン(約130億円)を買い越し、株価を下支えした。
ウリ投資証券のカン・ヒョンチョル研究員は「先月の延坪島砲撃でも株価が直後に急速に反発した。それを見た投資家の間に、北朝鮮関連の悪材料で株価が一時的に下落した時が押し目買いの好機だという学習効果を生んだ」と分析した。むしろ、中国の株式市場が北朝鮮リスクに敏感に反応し、上海総合指数は前日比1.41%下落した。
ただ、国家のデフォルト(債務不履行)のリスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムでは、北朝鮮リスクによる影響をやや感じ取ることができる。金融監督院によると、5年物国債に対するCDSプレミアムは先月の0.93%から20日には1%に上昇した。CDSとは国や企業など債券発行者が債務不履行に陥る可能性に備えた保険に似た金融商品で、CDSプレミアムの上昇は、デフォルトリスクが高まったことを示す。
専門家の多くは、韓半島(朝鮮半島)の緊張が実際の戦争につながらない限り、北朝鮮リスクが金融市場に与える影響は今後も大きくはないとみている。