射撃訓練:延坪島の様子とは(下)

 この日、延坪島は早朝から緊張の連続だった。朝8時7分ごろ、延坪面事務所は放送を通じ、「きょう午前中に射撃訓練が行われる予定だ」と住民に伝えた。同日朝は霧が濃く、島では20メートル先もよく見えない状況だった。朝9時6分ごろ、放送を通じて近くの待避所に非難するよう指示が下された。住民たちは、「ついに来るべきときが来た」とでも言いたげな表情だった。警察官はどこの住民がどこの待避所に入るかを細かくチェックしながら記録した。午前10時ごろには、13カ所の待避所に住民102人、公務員44人、軍と警察の関係者72人、工事関係者31人、取材記者43人の計290人以上が避難した。避難が終わると、町は静かになった。午前11時30分ごろから始まる予定だった訓練は、濃い霧の影響で午後2時30分に延期された。住民たちは午後1時、待避所の中で昼食にインスタントラーメンとキムチを食べた。

 日中を待避所で過ごした住民たちは、訓練の正当性について語り合った。延坪教会で牧師を務めるソン・ジュンソプさん(44)は、「韓国軍が韓国の領土で訓練を行うのは当然のことだ。早く訓練が終わり、平常通りの生活に戻りたい」と述べた。ブドウ園を営むイ・チョルホさん(64)は、「これまで不安を感じたことはないが、今回は何があっても訓練をやり通すべきだ」と語った。「北朝鮮が脅迫してくるのに、どうしても訓練をしなければならないのか」「緊張状態が過ぎ去ってから訓練を行っても遅くはないはずだ」などと不満げな住民もいた。

 しかしほとんどの住民たちは、北朝鮮による挑発行為については一切語ろうとしなかった。牧師のソンさんは、「われわれの正当な訓練に対して北朝鮮が対応しないのは当然のことで、これが最も良い結果だ」「おそらく何も起こらないだろう」と語った。

 西海5島の最北端にあるペンニョン島も、この日は終日島全体が非常事態だった。朝から面事務所や軍の緊急待避放送が鳴り響き、住民たちは待避所に避難した。周りが暗くなっても、島内には明かりのついていない家が多く見られるなど、住民たちは遅くまで待避所にとどまり、状況を見守った。ペンニョン島に住むチェ・ホンビンさん(50)は、「訓練が無事に終わったのは幸いだが、問題は今後、北朝鮮がどのように出てくるかだ。これはとても心配だ」と言ってため息をついた。

延坪島=キム・チュンリョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る