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2010年12月

2010年12月18日 (土)

サル団子のジレンマ

 冬の寒い夜にヤマアラシ夫婦が、お互いを暖めようと体を寄せ合う。しかし、近づけば近づくほど相手を自身の針で傷つけてしまう、という寓話をヤマアラシのジレンマという。

 日本では、寒さを凌いでサルが寄せ集まっているのを「サル団子」と言うそうだ。民主党のサル団子は差し詰め、ジレンマの固まりである。「こいつらとは絶対一緒にいたくない」と思っても、身を寄せ合うしかない。でも、近づくほどに嫌気がさし、傷つけ合う。

 茨城県議選後の民主党は、敗戦の総括よりも小沢氏の政倫審招致に軸足が移った。小沢氏は頑強に出席を拒み続けるが、執行部側の作戦勝ち。やはり、刑事被告人となる側のカードは弱い。菅総理は「脱小沢」で人気回復という3匹目のドジョウを狙う。

 しかし、民主党内ハルマゲドンは、遅かれ早かれ再び激しくなるだろう。小沢一郎という政党自爆装置のスイッチがオンになっている以上、行くところまで行く。

ゲゲゲの妖怪劇場

 国民のウンザリ感は溜まる一方だ。またしても政治不信が高進している。こういう八方塞がり状態になると、蠢き始める人達が出てくる。連立組み換え、大連立、新党設立、政界再編。

 自民党の森喜朗氏のような人達が持ち出すのが、ホコリまみれの「挙国一致内閣」。こういう時には必ず出てくるお化けだ。

 別れた女房じゃあるまいし、福島社民党代表とヨリを戻そうとして振り回されている姿には恐れ入る。普天間移設で鳩山内閣が崩壊した教訓をもう忘れたのか。

 鳩山兄弟新党構想というのもあるそうな。またしても御母堂様からの子供手当てが設立資金か。党首には舛添氏を担ごうとか、小沢氏もまんざらでないとか、アホらしい。

 その舛添さんは、菅総理とも会って、改造内閣では官房長官説も流されている。新党でも、ジリ貧内閣でも、都知事選でも、何でもいいというのは無定見そのもの。つくづく、こういう人と組まなくてよかったと思う。

 こうしたゲゲゲの妖怪劇場に出てくる人達の共通項は、「先がない」ということ。先がないから、出たとこ勝負に賭けるしかない。展望も開けず、戦略ももたず、振り回される人達もいい迷惑だ。

政権選択のやり直しを早くやれ

 みんなの党は、国会が妖怪だらけになっている時は、原点に戻って国会の垣根を飛び越えて草の根国民運動を地道に展開する。私が自民党を離党してやったことをやればいい。北海道から沖縄まで全国行脚を行い、みんなの党のアジェンダにふさわしい覚悟の人間を結集していく。来年の統一地方選は、組織のないみんなの党にとって草の根のネットワーク型組織を作っていく絶好のチャンスだ。

 そして、政治の閉塞状態を打破するには解散総選挙が一番だ。菅氏は絶対やらないだろうが、総辞職をしないのなら解散という状況に追い込んでいくしかない。来年1月の冒頭解散がベスト。次善が3月、4月は統一選とのダブルだ。

2010年12月 9日 (木)

後がない「ゲゲゲ」と「レレレ」のハルマゲドン

 師走の8日、森喜朗元総理が菅総理のもとを訪れた。硫黄島の遺骨収集を超党派でやろうという趣旨だったそうだ。でも何か臭い。硫黄の臭いか? 11月18日に与謝野馨氏が総理公邸で密談しているが、同じ臭いを感じる。

 同じ12月8日午後、読売新聞主筆の渡邉恒雄氏が自民党本部に谷垣禎一総裁を訪問。消費税増税のための大連立を勧めた。谷垣氏は小沢一郎氏のいる民主党とは一緒になれないと伝えたとか。渡邉氏は鳩山前総理とも会っていた。

 同日夜、小沢氏、鳩山兄弟、舛添要一氏の4人が寿司屋で密談。これも大連立? と言ってもこちらは菅内閣を引きずり降ろしての話。舛添氏は11月29日の第2回目の党首会談の時、救国内閣で連立組み換えをやるのなら、協力は惜しまないようなことを言っていた。菅内閣でも小沢内閣でもどっちでもいいということだろう。

 ここに登場する人達の共通項は「後がない」こと。小沢氏に言わしむれば「最後の御奉公」とあいなる。政治家人生の終わりに一花咲かせようというのだろう。一端、引退を表明した鳩山兄も発言撤回。引き際の美学はこの人達には通用しない。

 大連立をパターン化してみると、まずプランA(1)は「菅内閣延命型大連立」で、消費税増税を至上命題とする。増税翼賛体制を目指す。

 プランA(2)は「菅クビすげ替え仙谷主導型」で、首班は前原誠司外相など仙谷支配が続く人達になろう。この場合も、財務省路線が基本で、増税翼賛体制は変わりない。

 プランB(1)は、「鳩山兄弟新党設立」で政界再編連立組み換えをやろうというもので、魑魅魍魎の世界が広がる。資金はまたしても子供手当か?

 プランB(2)はより明確に小沢内閣を作ってしまおうとするもの。「刑事被告人最後の御奉公型」である。

 プランAの方は人間界と霊界を行き来する妖怪らしき影がチラついて、増税翼賛体制というお化けが出現する「ゲゲゲの大連立」と言えよう。権力の魔力と妖気が漂っている。

 プランBの方は、妖怪の影はあっても妖気は漂わず、さしずめ、赤塚不士夫風に言えば「レレレのオジさん内閣」。何をやりたいのか全く不明で、ネジがはずれている感じだ。

 いずれにしても、民主党内ハルマゲドンが、のっぴきならない所まで来ていることは間違いなかろう。プランA推進派は、「脱小沢」で3匹目のドジョウを狙う。政治倫理審査会招致を議決するのだとか。

 一方、プランB推進派は「政権交代を成し遂げたのはオレ達だ」というプライドだけは高い(見るべき実績は悲惨なものだが)。ゆえに、3匹目のドジョウで生け贄にされてはたまらんと必死だ。

 連立の相手方である自民党はどうか。敵失の国会追求で多少支持率は上がったものの、所詮、大きな政府で増税路線の同じ穴のムジナ。迫力不足と人材不足は変わっていない。

 国民はこういう不様な政治劇場に付き合わされて辟易している。「いい加減にしろ」という声があちこちから聞こえてくる。魑魅魍魎ではなく、アジェンダのもとに政界再編をやり直さなければならない。

 そのためには、1日も早い解散総選挙が必要だ。来年1月の通常国会を早期召集し、冒頭解散をやるのが一番よい。

2010年12月 8日 (水)

『迷』

民主党政権が迷走し、鳩山内閣が退陣。脱小沢路線を掲げて菅内閣が誕生するも、増税キャンペーンが祟って参院選で敗北。再び脱小沢で代表再選されるも尖閣事件で迷走。

菅総理がブレまくって迷走するのは信念がない、覚悟がない、戦略がないから。国会を早々と閉じたら、鳩山退陣の原因となった普天間移設で連立を離脱した社民党とよりを戻す始末。

これで日米同盟重視とは聞いてあきれる。結局、政権延命が目的だから支離滅裂になる。結局、お化けのような大連立構想が次々と出てくる。菅延命型、菅クビすげ替え仙谷主導型、鳩山兄弟子供手当新党型、刑事被告人最後のご奉公小沢内閣型。

これは「ゲゲゲの~」という妖気すら感じない。ネジのはずれた「レレレの」オジさん程度だ。迷わずブレないみんなの党が急成長するゆえんである。

2010年12月 3日 (金)

逃亡国会

臨時国会が閉幕した。菅総理は、十月一日、所信表明演説において「熟議の国会」にしていくと述べた。しかし、みんなの党提出の全ての法案がたな晒しにされる中で再三要求してきた国会会期延長要求を無視し、閉幕するとは、どこが「熟議の国会」なのか。

 これは、次々と問題を起こす菅内閣が、臭いものにフタをするようなものだ。

今国会は、尖閣諸島沖の体当たり船長の釈放により国際社会に対して日本が中国の圧力に屈するとの印象を与えた問題から出発し、危機管理が問われた国会であった。

残念ながら、菅内閣は、危機管理の局面で重要な反射神経がまるでなく、国益を甚だしく害し、憂うべく惨状であった。

 そもそも、みんなの党は、体当たり船長の釈放後、本件を真摯に検証し、失敗の教訓を伝え、危機管理体制を構築していくことを訴えていた。

 しかし、あろうことか、仙谷イニシアティブといわれるほど船長釈放を主導した疑いの強い仙谷官房長官は、検察にその判断の責任を全て押し付け、国会では、出しゃばり・居直り・はぐらかしの答弁に終始した。

その仙谷氏は、法務大臣へ専念するとか兼務を続けるとか、のたまわっているそうだ。民主党が散々主張してきた直近の民意を無視して、未だに官房長官の職に居座っているとは言語道断だ。また、体当たり船長の釈放について検察に責任を押し付けた疑いが晴れない仙谷氏が、法務大臣を続けるということは、検察から都合の悪い情報が出ないようフタをするようなものだ。

 菅内閣の扇の要ともいえる、この仙谷氏の無責任体質は、閣内に蔓延し、閣僚のタガは緩みまくりで、閣僚から予算委員長まで、失言・放言のオンパレード。

 最初の尖閣問題で危機管理体制を適切に見直さなかったため、その後の危機管理の重要な局面でも、次から次へと致命的な失敗を繰り返し、国益を著しく損ねたのは由々しき事態だ。

 北朝鮮の韓国大延坪島砲撃の一報を受けても、菅総理は、砲撃と関係のない国対関係者との打合せを続け、初動が遅れ、北朝鮮に対する非難声明も遅れた。

 極めつけは、警視庁公安部のものとみられる国際テロに関する情報流出問題だ。

 これは、既に問題発生から一ヶ月を経過した。捜査員の顔写真入りの住所データや家族の氏名、捜査への協力者の住所を含めた個人情報などが掲載される本が出版されるなど、人権侵害や国益侵害は甚大だ。

これにもかかわらず、岡崎大臣(国家公安委員長)は、今日に至るまで「調査中」を繰り返し被害拡大防止に向けてなんら有効な手立てを講じていない。なんたる有様だ。

このような菅内閣の有様をみて、国民は政治全体への不信を増大させている。みんなの党は、菅内閣に退陣を求める。

また、今国会は、ねじれ国会においてどのように政策を作り上げていくか試された国会でもあった。

みんなの党は、覚悟のアジェンダの実現のため、今国会に8本の法律案(1本の修正案を含み、2本は自民党と共同提案)を提出した(注)。とりわけ参議院では野党の中で最も多い5本の法案を提出した。

 しかし、みんなの党が危機管理体制の構築に一刻の猶予もないとの危機感から、先頭を切って提出した仙谷長官の問責決議を除き、提出した法案・決議は全てたな晒しとなり、菅内閣は、逃げるように国会を閉幕。

こうした中で、小沢一郎前幹事長も国会招致から逃げに逃げた。今国会は「逃亡国会」でもあった。

あげくの果てに、菅総理は、国会閉幕が確実になった段階で、小沢一郎前幹事長による政治資金の多額の分配について、他人事のように「小沢氏は国民へ説明を」と豪語したようだ。こうした無責任極まりない発言が、自らを苦しめ、政治不信を高めることすら分かっていないのにはあきれる。

今国会でみんなの党提出法案が審議できなかったことは大変遺憾だ。しかし、デフレ脱却法案(日銀法改正案)は、いち早くロイターで打電されるなど、マクロ経済理論の理解が深い海外メディアや投資家の深い共感と高い関心を呼んでいる。

なにより、参議院選挙までは議員立法の提出権すらなかったのが、法案を8本提出し、少しでも国民世論の喚起ができたことは、大いなる前進だ。

国会が閉幕しても、あらゆる機会を捉えて、みんなの党の覚悟のアジェンダを訴えていく。次期通常国会においても次から次へと法案を提出する。

そして、多数の議員が賛成せざるを得なくなるような状況になるまで、国民世論を喚起する。

それがみんなの党だ。

(注1)みんなの党提出法案

① 議員歳費カット法案(国会議員給与3割、ボーナス5割カット(今期冬季の賞与は全額自主返納を可能にする)

② 給与法改正の修正案(国家公務員給与を民間並みに引き下げるもの)

③ デフレ脱却法案(日銀法を改正し、雇用の安定を目的に追加、政府が物価安定目標を定め日銀に指示、日銀総裁等の解任を可能にする)

④ 郵政民営化促進法案、政府系金融改革促進法案(天下り規制を強化、完全民営化を推進し、政府保有株売却による埋蔵金を発掘)。

⑤ 財政見える化法案(資産仕分けのため、国会の議決により特別会計や独立行政法人等の剰余金・積立金の一般会計への繰入れを可能とする)

⑥ 国家公務員法等改正案、幹部国家公務員法案(天下りの根絶、事務次官廃止、内閣人事局で各省庁幹部人事の一元管理、給与は能力及び実績主義を徹底、幹部職員の降格の実質可能化、幹部職員の公募)

(注2)みんなの党提出決議

① ノーベル平和賞受賞者の中国民主活動家劉暁波氏の釈放を求める決議案

② 仙谷由人官房長官の問責決議案 →可決成立

③ 岡崎トミ子国務大臣(国家公安委員長)の問責決議案

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