違法操業取り締まり:中国漁船、鉄パイプで抵抗

警備艇と漁船衝突、1人死亡

 18日午後0時50分ごろ、全羅北道群山市沖の韓国の排他的経済水域(EEZ)で操業していた中国漁船団のうち1隻が海洋警察の警備艦と衝突して転覆し、中国人船員1人が死亡、1人が行方不明となった。

 一方、違法操業の疑いで中国漁船を検問しようとした海洋警察官4人が中国人船員の振り回す鉄パイプなどで負傷した。

 事故は、中国漁船約50隻が操業していた群山市於青島の北西沖約133キロの海上を3000トン級の警備艦が航行中に、警備艦から警備艇2隻を下ろし、逃走する中国の漁船団を追跡する途中で起きた。海洋警察官が7人ずつ警備艇2隻に分乗し、中国の漁船団後方にいた60トン級の木造漁船に接近したところ、中国人漁船員が鉄パイプやシャベルなどを振り回して抵抗。海洋警察は閃光(せんこう)弾2発や放水などで対抗したが、海洋警察官4人が鉄パイプなどで手首を骨折するなどのけがをした。また、警備艇の船首、盾、ヘルメットなども損傷した。手首を負傷し、病院に収容された海洋警察官は「中国漁船の左舷に警備艇を付け、乗船を試みようとしたが、甲板にいた船員が鉄パイプなどを激しく振り下ろし、命の危険を感じた」と語った。

 また、当時周辺で操業していた中国の木造漁船「遼営漁35403」(62トン)が3000トン級の警備艦の進路を妨害しようとし、警備艦の船首に衝突して沈没した。この事故で同漁船の船員10人が海に転落し、海洋警察が4人、ほかの中国漁船が5人を救助したが、船長(29)は群山に移送中に死亡した。

 事故海域はサバ、タチウオ、イワシ、イカなどの好漁場で、中国漁船の違法操業が深刻化していた。海洋警察は「中国漁船が激しく抵抗したのは、違法操業で拿捕(だほ)されれば、500万-5000万ウォン(約36-360万円)の罰金を科されるためだ。中国の違法操業漁船は許可を受けた漁船と共に船団を組んでいるため、検問はさらに困難となっている」と説明した。転覆した漁船は韓国の水域での操業を許可されていた。

 中国漁船の違法操業は後を絶たず、海洋警察との衝突は頻繁に起きている。先月29日には済州島西方の遮帰島南西沖61キロの海上で、海洋警察の警備艦が違法操業中の中国漁船を検問中、船員による暴力で海洋警察官6人が負傷した。2008年9月には全羅南道新安郡可居島の西73キロの海上で、木浦海洋警察庁所属の警察官が中国漁船員に鈍器で殴られ死亡した。

 韓国外交通商部は、今回の事件が中国との外交問題に発展しないよう、中国側に遺憾の意を表明する一方、中国漁船の違法行為を中国側に説明した。外交通商部当局者は18日、在韓中国大使館の総領事に電話をかけ、「死者が出たことには心を痛めている。事後処理には積極的に協力したい」と申し入れ、中国大使館側は「分かった。必要な措置を取りたい」と答えたという。

全州=金昌坤(キム・チャンゴン)記者

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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