北朝鮮砲撃:攻撃「強く非難」する声明…米大統領報道官

2010年11月23日 22時19分 更新:11月23日 23時57分

 北朝鮮の砲撃についてギブス米大統領報道官は23日未明、攻撃を「強く非難」し、即時停止を求める声明を発表した。米国は韓国への全面的な支持を打ち出し、今後は北朝鮮に対する軍事的圧力を一気に強めるとみられる。同時に、南北交戦の拡大を防ぐため、中国に北朝鮮に対する影響力を最大限に発揮させ、これ以上の軍事力を行使させないよう、厳しく求めていく方針だ。

 声明によると、米国は韓国と緊密な情報交換をしており、北朝鮮には南北の休戦協定を順守することを求めた。また「同盟国・韓国防衛への断固たる決意」も表明した。

 陸軍主体の在韓米軍は2万8500人規模。韓国軍との連携では、朝鮮半島有事の際の作戦統制権は米軍にある。オバマ大統領と韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は今年6月、北朝鮮の核・ミサイル実験に加え、3月の韓国哨戒艦沈没事件で軍事的脅威が高まったことなどを受け、統制権の韓国側への返還を当初予定の12年から15年末までに延期することで合意した。

 また、クラッパー国家情報長官は7月、長官指名に伴う上院での公聴会で、「韓国への直接攻撃を通じて北朝鮮が再び、国内外の政治目的促進をねらう危険な時期に入りつつあるかもしれない」と述べ、新たな挑発行為を警戒していた。

 米韓両軍は、対潜水艦哨戒訓練などの合同演習を今回の事態が起きた黄海でも実施していた。だが、北朝鮮の攻撃は海上だけでなく、陸上にも及ぶことが明らかになったことで、米韓両軍は新たな対応を迫られることになる。

 23日、北京に入った米国のボズワース北朝鮮担当特別代表は、中国の武大偉(ぶ・だいい)・朝鮮半島問題特別代表らと会談。報道陣に北朝鮮の砲撃について「望ましくない。同盟国と緊密に対応していく」と述べた。

 米国はこれまでも中国に北朝鮮へ圧力をかけるよう働き掛ける一方で、中国が朝鮮半島の混乱に安全保障上の懸念を持つことにも一定の理解を示してきた。だが今回の北朝鮮の行為は許される一線を越えたとして、中国にさらなる働きかけを要請するとみられる。

 米国は対北朝鮮で、挑発行為には見返りを与えず、非核化に真剣に取り組むまで交渉に応じない姿勢を堅持してきた。北朝鮮の相次ぐ好戦的な態度を前に、こうした姿勢を維持できるのか、オバマ政権にとっての正念場でもある。【ワシントン草野和彦、古本陽荘】

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