2010年10月22日 20時33分 更新:10月22日 21時30分
12月以降の購入分から家電エコポイントがほぼ半減されると発表された今月8日以降、対象製品の「駆け込み需要」で家電量販店などがにぎわっている。薄型テレビや冷蔵庫などは売れ行きが前年同期比2~3倍と急伸。各量販店はチラシなどで「半減」前の購入を呼びかけ、商戦は過熱する一方だ。だが、需要を先食いしている面は否めず、制度縮小後の反動減も懸念され始めている。
「(来年7月の)地上デジタル放送移行直前に買い替えようと思っていたが、エコポイントが減ると聞いて今のうちに買おうと決めた」。大手家電量販店、ビックカメラ有楽町店本館で21日に52型と32型の薄型テレビ2台を購入した主婦(63)は、そう話す。別の主婦(53)も「エコポイントが多くもらえるうちに2台目を」と薄型テレビを品定めしていた。
ビックカメラでは、9~11日の3連休から薄型テレビの販売台数が急増し、11~17日の1週間は前年同期比2.5倍増、夏が需要期の冷蔵庫も「エコポイント効果」(同社)で1.5倍増えたという。ヨドバシカメラでも今月、テレビの販売台数は3倍増え、コジマも「エアコン、冷蔵庫などの売れ行きは伸びている」。調査会社BCNによると今月(20日現在)の薄型テレビの販売台数は2.67倍と9月(1.74倍)から大幅に伸び、エコポイント制度導入後の増加率でピークだった今年3月(2.56倍)を上回る勢いだ。
家電量販店も折り込みチラシや店頭などで「半減」を積極PRして早めの購入を呼びかけており、例年は最大の需要期となる12月より前にピークが来ると見られる。反動減も予想されるが家電量販店各社は「地上デジタル放送移行までは需要が続く」(大手家電量販店)と年末以降も一定の販売を見込む。
メーカー側からは「今年4月にテレビの対象機種が絞り込まれる前の3月は、駆け込み需要に供給が追いつかずシェアを落とした。年末前に一度ピークが来て需要が分散するのは歓迎」(大手電機)との声も聞かれる。日立製作所は「11月のピーク」に向けエアコンなどの生産販売体制の見直しを進めている。
ただ、需要先食いの面は否定できず「12月以降のことはふたを開けてみないと分からない」(中堅量販店)というのも本音。BCNの道越一郎アナリストは「いつ買おうか迷っていた人が動き出したが、制度が終了する来年3月以降はかなり売り上げが落ちるだろう」と予測。「地デジ移行後も視野に入れて、薄型テレビ頼みを脱する売り場作りも求められている」と話している。【谷多由】