2010年10月21日 2時30分
防衛省は20日、現在16隻体制で運用している海上自衛隊の潜水艦について、20隻超まで増やす方針を固めた。同省関係者が明らかにした。本来なら耐用年数を迎えて、交代する潜水艦を「延命」させることで対応する。海軍力を増強させ、日本近海でも活動を活発化させる中国海軍を強く意識した措置で、年末に改定する「防衛計画の大綱」(防衛大綱)に盛り込む。
中国海軍をめぐっては08年10月に、戦闘艦艇4隻が津軽海峡を通過する事案が発生。今年4月には、潜水艦2隻など計10隻が、沖縄本島近海を通過する事案も起きており、「何らかの対抗措置が必要」(同省幹部)との声が強まっていた。
海自が保有する潜水艦は、古い順に「はるしお型」(3隻)、「おやしお型」(11隻)、「そうりゅう型」(2隻)の3タイプ。耐用年数は16~18年で、各年度に最も古い1隻が退役し、1隻が就役するサイクルをとってきた。
しかし財政難の下、中長期にわたり防衛関係費の大きな伸びは見込めない。このため、メンテナンスによってはるしお型やおやしお型の耐用年数を5年程度延ばし、全体数を増やす苦肉の策をとることになった。【坂口裕彦、樋岡徹也】